日経さんは「市民」こそが岩盤だと思っている
認可されることは春くらいに私大協会の偉いさんに会った時からわかっていたので、さしたる驚きはない。認可に際して文科省が煩悶したかのような報道があるが、文科省に抵抗する「動機」がないので、そういう人もいるのかな、という程度の感想だ。
欠けだか賭けだか知らないが、とにかく新設の大学でバックに政治家が絡んでいないところなんか皆無なのだ。
国会審議をみる限り、理事長が開学に便宜を図るよう首相に求めた事実は確認できない。
マスメディアは建前としてそう言わざるを得ないのかもしれないが、あれで疑わないような人間は、自分の妻が素っ裸で別な男とベッドに入っているのを見ても、妻が「裸で一緒にベッドに入っているだけで何もないのよ!」と言えばそれを信じるタイプの人なのだろう。そういえば、日経さんはあべぴょんを「信じてる」んだっけか。
だいたい、この少子化のご時世に、新しく大学を作ることのどこが「岩盤規制突破」になるのか。
少子化になろうとも大学を作りたい、と考えているのは「既得権益層」なのであって、ここで新たな大学を作るなどということは、むしろ逆にその「岩盤」を分厚くするようなものである。
同時に、水準を満たさない既存学部は撤退させるべくルールを整えるのが同省本来の役割である。
じゃあ、そのルールが整ったとして、さっさと加計学園ご退場願えるのか、どうか。
教育分野に限らず保育、介護、法曹、雇用、医療などの官製市場には既得権者が守りたい岩盤規制がある。消費者主権を貫くために戦略特区が果たす役割は大きい。
日経さんの言う「既得権者」とは「市民」のことであり、「岩盤」とは、「消費者主権」の方なのではないかと思われる。
あべぴょんころりんすってんてん
なんか色々と目論んでいたら、とんだ思惑外れとなったけど、とにかくこっちはこっちでやってりゃ、そのうち向こうも「やっぱり混ーぜーて」となるだろう、という魂胆である。
しかし、一番文句の多いアメリカが抜けたと言っても、その道は平坦ではないようだ。
「大筋合意」とぶち上げたら、カナダが「いや、合意とかしてないよ」とツイッターでつぶやき、大慌てでもういっぺん泥縄ですり合わせ、とにかく「合意」にこぎつけられそうだ、という次第である。「大筋」ですらこれで、この先どうするのやら。ニュージーランドもごたつきそうだってのに。
とにかく、今TPPをガタガタやってる、というのは、将来アメリカがもう一度加入することを期待してのことだ。
米国が日米2国間の自由貿易協定(FTA)締結を求めてきても、日本は「新協定の内容より譲れない」と理不尽な要求を退ける防波堤として活用できるようになる。米政権がすぐにTPPに復帰するのは考えにくい。それでも日本を含む11カ国は粘り強く米国に復帰を働きかけてほしい。
ごちゃごちゃ言ってはいるが、現政権がFTAの要求に抵抗できるとは考えづらい。結局はアメリカの復帰を期待するしかない、ということである。
それが何を意味しているかというと、トランプ政権が長続きしない、と日経さん及び日本の上つ方が考えている、ということだ。スキャンダルで潰れるかもしれないし、そうでなくても長くて一期だけだから、すぐに方針転換するさ、との憶測である。
じゃあ、先日の国を挙げてのトランプへのごますりは一体なんなのか。面従腹背というやつなのか。愚にもつかない歓迎会だったが、それはそれで裏の思惑が進行中、ということか。あのごますりと同時進行でTPPを合意していることについて、トランプはどう思っているのか。
ピエロは我が国が誇る「史上最弱の独裁者」あべぴょんだけのようだ。本気であべぴょんは、「トランプと仲良し!」と自慢しているそうなので。
とはいえ、トランプはその程度のことはお見通しなのだろう。ゴルフでのぞんざいな態度は、その現れだと思われる。
日経さんが今の株価は「バブル」と認定しました
とうとう日経さんも、今の株価は実体のないものだ、と認定した。
つまり「バブル」である。
実体が伴うものであれば、「成長につなげよ」などとは言わない。
本来、経済の健全なあり方として、経済そのものの成長がまずあって、次に株価の伸長があるものだ。
その順番が逆になっているのだから、それはやはり「バブル」と呼ばざるを得ない。
世界的な景気拡大を背景に、グローバル企業の業績が上向いていることが、足元の株価上昇の大きな要因だ。
25年前の92年はバブル崩壊が明らかだったにもかかわらず、国も企業も改革を先送りした。その結果、同年3月に日経平均は2万円を割り込んだ。当時と同じ過ちをくり返してはならない。
さて、今回の「バブル」はただのバブルではないことは、ちょいと目端の聞く人ならよくお解りのことと思う。
バブルが「健全に」弾けるならよし。むしろ弾けないことの方が、社会に恐ろしい状況をもたらすだろう。
国民を上下にくっきりと分断するなら、それを強引に統一させようとする逆の力が過剰に働くからだ。
それを避けるために、かつて池田内閣は富裕層と貧困層の、都市と地方の、分断を無くすように公約で謳ったのである。
現代では「格差」と呼ばれているが、戦後の昭和においてはっきりと社会的な「分断」と表現されていたということを、評論家の皆様方ですらお忘れのようだが。
見直しじゃなくて「無くせ」と言えないの?
小手先でちょっと制度をいじっただけ、という、あべぴょんお得意の「全力でその場で足踏み」が、またも行われたわけである。
それについて日経さんがぶつくさ言ってるわけだが、いつもなら「もっと早く移民を!」の主張で終始しているはずが、今回は一味違っている。
技能実習制度は人権侵害の問題をはらむとして世界から批判されている。背景にあるのは国際貢献という建前と、人手の確保という本音とのかい離だ。
これに触れないことには話が始まらないわけで、日経さんもようやっと無視できなくなってきたようだ。
で、この「本音」の部分について、とりあえずこの場では「移民」という答えは先送りにしている。
かと言って、はっきりした答えが打ち出せているわけでもなく、日経さん自身も「小手先」の提言でお茶を濁している。「根本から見直しを」と言いつつ、自分の物言いは何が根本なのやらさっぱりである。
特定の職種に人が集まりづらくなるのはいつの時代もある。
戦前においては、重工業というのがだいたいそうだった。工場は命をすり減らすために働いているような状況があり、当然なかなか人が集まらない。なので高給を提示して釣り上げ、あとは「釣った魚に餌をやらない」という詐欺を行なっていた。(この「詐欺」のおかげで失業率もぐんと下がった)
経営者側に労働環境を改めるという思考はなく、とにかく儲けないと、の一点張りだった。
その「伝統」は今も形を変えて続いていて、「技能実習」とやらもこうした問題から別れた枝葉の一つである。
正味の話、問題の背景として、この制度がすでに時代遅れだということもあると思う。「技能実習」の内容など、わざわざ日本に来ずとも自国で学べるからだ。国際貢献という「建前」など、とっくのとうに破綻しているのだ。
じゃあ、なぜ「無くせ」と言えないのか。
実習生の「低賃金労働」によって食ってる連中が少なからずいるからだ。
日経さんはどんな要因だろうと、労賃が引き下がる方向でしか思考しないのが癖になっているので、そこで思考がストップしてしまうのだろう。
とは言え、これは一筋縄ではいかない問題なのは確かだ。
とりあえず、喫緊の課題として、介護に人が集まらないというのをなんとかしなくてはならない。
まず、政府は介護の現場に従事する従業員について、所得税を免除するくらいしてはどうだろうか。
あと、蛇足として、
珍しく日経さんが現政権に関して及第点の社説を書いている。いつもと書いている人が違うのか?
とにかく、この程度のことは書いてて「普通」なので、今後も精進してもらいたいものである。
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言ってて虚しくならんの?
何度目だ、「構造改革」
とにかくあべぴょんは、改革よりも改憲カイケン!と心ウキウキワクワクなので、そんな面倒なものには見向きもしない。一応、やるフリくらいはするかもしれないが。
アベノミクスとやらの大雑把な思惑は、
金融緩和で椀飯振舞いする
↓
急激なインフレになる
↓
消費税を上げて市場から金を吸い上げる
↓
インフレ沈静化する
ついでに財政も健全化
という隠居の将棋みたいな単純思考で描かれている。
その思惑は初っ端からつまづいて、つまづいたついでによろけた足で消費税増税に踏み切って、さらに悪化を招いたわけだ。
それでも音頭をとるのがあのバカでなければ、もう少し違った展開があったかもしれない。
リフレというのは、よほど優秀な人間でなければ上手く乗りこなせない、荒馬のようなものなのだ。
とりあえず始めちまったからにはもう止めようがないので、今のうちに「構造改革」よりも「改憲」をやっておきたい、というのがあべぴょんの願いである。
日経さんはその様子を見ながら、「信じてます信じてます」と呟くことしかできないのだ。
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日本を真っ黒に塗りつぶしたい日経さん
この社説を読んで要点がパッとつかめる人は少ないだろう。
タイトルにある「中小企業の後継者不足」について、なぜそのようなことが問題となるのか、ということは口を閉ざしているからだ。
日本の中小企業の実態は「大きな自営業」であり、その後継は世襲がほとんどである。
そのことについては
親族内の承継では贈与税や相続税の支払いを猶予する制度がある。現在は雇用の8割以上を維持することなどが求められ、こうした条件を見直す余地はある。
国からもそれを容認する制度があり、日経さんはその優遇措置を見直せ、とおっしゃる。
だが、ちょっと考えてみてほしい。そんな優遇措置もあって、会社のあとを継げるのなら、なぜ「後継者不足」などが起こるのか?
で、日経さんはこんな「試算」を掲げてみせる。
2025年には6割以上の中小企業で経営者が70歳を超え、このうち現時点で後継者が決まっていない企業は127万社あると経済産業省は試算している。
アホか。2025年で70歳なら、「現時点」は60代なわけで、後継者を決めていないなんてのは普通にあることだ。農家の高齢化問題が、実は「兼業」なら当たり前のこと、というのと似たようなもんである。
さらに「大きな自営業」の中で早々と後継者を決めたりすれば、トラブルの元になるということもある。社長がワンマンだったりすると、特にその傾向がある。
それから、明日をも知れぬ小規模事業なら、後継者なんぞ決まってる方がおかしいというものだ。
ちなみに、日本の中小企業の総計は380.9万社と言われ、そのうち小規模事業は325.2万である。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf
逆に、半分以上の事業で後継者が決まってるとか、随分多いと思わされる。
さらに日経さんは、「後継者不足」にはこのような問題点があるとおっしゃる。
休業・廃業や解散をする企業の5割は経常損益が黒字だ。経産省によれば、廃業の増加によって25年までの累計で、約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われる可能性がある。
バカか。もはや「後継者でんでん」とか、なんの関係もない。
日経さんが言いたいのは、要するに中小企業のM&Aをもっとどんどんやらせろ、ということである。
そのための動機として、ありもしない「後継者不足」を持ち出してきたのだ。
前々からM&Aなんてのは、スタイリッシュな人身売買じゃないか、ということを書いてきたが、中小企業ではそれが一層顕著となる。
とにかく乗っ取った側は、それにかかった金をできるだけ早く回収しようとするので、乗っ取られた側はほとんどブラック企業と化してしまうのだ。
これは揣摩憶測の類ではなく、実際義理の叔父が経営していた会社で起こったことである。ある日突然TOBで乗っ取られたのだが(日経さんにも小さく載った)、それから会社はまるで「くず肉製造器」のようになってしまった。エネルギッシュだった義叔父は見る影も無く老い、黒々とした髪は真っ白になり、しぼんだ頰を老人斑がべっとりとおおっていた。
日本中の中小企業を真っ黒に塗りつぶしたい、というのが日経さんの願いなのだろう。
「処理」なんかできないのに何を急げというのか
先日、所用があって福島へ行ってきた。原発から30キロほどの場所である。辻に立つ線量計は、東京の10〜20倍の数値を示していたが、携えて行ったカウンターはさらにその数十倍の値を表示した。
選挙期間とあって、共産党の看板が立ち、その隣に一回り大きい自民党候補の看板が立ち、そのまた隣に三回り大きな「除染中」の立て看が置かれていた。「除染中」の赤い字はところどころかすれていた。
そこから100mほどの場所で、削られて赤肌を見せる山裾に、黒々とした腫瘍のような汚染土の詰まった袋が積み上げられていた。
住人は皆一様に親切で、東京から来たと知ると、口々に「福島はいいところですよ」「何を食べても安全ですよ」と言いつのる。通りすがりの買い物帰りのお婆さんですら、そう口にした。
けんちんうどんや地元野菜の天ぷらを食べ、山陰の民宿に泊まった。手元のカウンターはさらに数値をアップさせていた。
日経さんは顎を突き出して命令だけする奴隷監督官のように、「急げ」「早くしろ」とだけおっしゃる。
国は福島県を汚染土の最終処分地にしないと約束している。だが中間貯蔵施設の運用終了後、汚染土を県外に運び出す見通しがあるわけでもない。
この状況で何を「急げ」というのか。
日経さんが急ぎたいのは原発の再稼働だけだろう。
現地の作業所で聞いたところでは、いくらやってもキリがない、あと何年かかるやらさっぱり先が見えない、ということだったが。