水と油が混ざりあう時代

 半生記以上前、ミルトン・フリードマンが一冊の本を世に問うた。

 それが新自由主義、てか自由経済のバイブル『資本主義と自由』てやつだ。

 

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)

 

  この本が書かれたとき、まだ公民権法はなく、フリードマンがうろついていたシカゴには、悪名高きジム・クロウ法が生きていた。

 フリードマンはその状況を憂い、やがて自由経済が広がれば「差別」なんて野蛮な風習は朝霜のように消えるだろう、と考えた。

 

 その小児病的能天気さを糾弾するのはさておいて、今やこの日本では本来水と油のはずだった「全体主義」と「自由経済」が融合している。

 しかし考えてみれば、フリードマンらシカゴ・ボーイズはチリのピノチェトを後押ししたんだから、利害が一致すれば水と油も手をつなぐというのはありえるわけだ。

 あべぴょんをヒトラーにたとえる人は多いが、むしろピノチェトに近いのではないか。

 アベノミクスが「チリの奇跡」のような末路を辿らぬよう願いたいものだ。

 

 

チリの決断―1973年9月11日 (1982年)

チリの決断―1973年9月11日 (1982年)