「日本のベートーベン」とやらの話
日本のベートーベンとか呼ばれた人が、自分で作曲してなかったとか、本当は耳が聞こえたとか、そんな騒ぎになっているようだ。
私は騒ぎになってからこの人のことを知ったので、曲がどのようなものかわからないし、今さら聞いてもしかたない。しかし、「全聾の作曲家の渾身の交響曲」という能書きがくっついていたなら、ついつい感動することもあったかも知れない。
ただ、私は「感動」という情動そのものに対して懐疑的なので、自分が感動したからといってそれを大事にする習慣を持たない。毎日ノーノ『力と光の波のように』を聞いている変態(妻の評価である)にとって、感動を共有することは奇跡に近いものと諦めてもいる。
- アーティスト: ケーゲル(ヘルベルト),ライプツィヒ放送合唱団,ラインハルト=キス(ウルスラ),トレクスラー(ロスヴィータ),ハーゼロイ(ウェルナー),ラ・リカータ(ジュゼッペ),ノーノ,ノイマン(ホルスト),ライプツィヒ放送交響楽団
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 1994/05/25
- メディア: CD
- 購入: 1人
- この商品を含むブログを見る
ただ、この騒動を聞いてふと思い出したことが一つある。
魯山人の作陶は今も名高く、数多の仕事の中でも群を抜いて人気がある。
しかし、現在魯山人作とされる陶器のうち、完全に魯山人の手によるものは少ないとされる。(ゼロだ、と断じる人もいる)
また、豊蔵以外にも陶工がいたともいう。
作陶を始めた時、魯山人はろくろを挽くこともできなかった、という話もある。
別段日本のベートーベンとやらを弁護する意図はない。
その曲に「感動」してしまった人がいたとしても、芸術とはそうしたことが多いのだ、と慰めてあげたいだけだ。
- アーティスト: 糸,野村誠,大友良英,高橋悠治,新垣隆,武智由香
- 出版社/メーカー: フォンテック
- 発売日: 1999/06/25
- メディア: CD
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ところで、試みにアマゾンで検索したら引っかかってきたのだが、上掲のCDの「新垣隆」とは、渦中の人のそれなのだろうか。
他の参加者に高橋悠治や大友良英(ドラマ『あまちゃん』のテーマを作った人だろう)の名前が見られるが、その筋では有名だったのだろうか。
現代音楽(と一般に呼ばれる分野)は好きでよく聞いているが、さっぱり記憶に残ってなかった。