なんでそんなにTPPが好きなんだ


日米はTPP決着の意志示せ :日本経済新聞

 

 なにやらもっともらしい言葉で埋まってはいるが、珍妙な社説だ。

威勢がいい割には無内容な所など、旧日本軍の命令文を思い出させる。

 しかし、ちょっと興味を引かれる部分もある。

>明確な期限がないからこそ日米の責任は重い。そのことを両国の政権は肝に銘じるべきだ。

 「両国」ときた。ここからアメリカのTPPへの熱のなさが垣間見える。もはや必死で食い下がっているのは、日本ばかりではないのか。中間選挙云々のよくある分析も書かれているが、アメリカにしてみればほとんど関係ないだろう。

 

 グローバル経済と一口に言うが、「経済」ばかりで政治の方は置いてきぼりだ。むしろ政治的には国境の壁を高くし、保守的である方が望ましいかのように語られる。

 政治抜きで経済のみがグローバル化するとどういうことが起きるか。

 それは、お互いの富裕層がお互いの庶民から搾取できるようになる、ということだ。そのためには、庶民たちには国境の壁が高い方が都合がいい。国外からの搾取に対して、経済を「自由化」しておけば、おおよそ政府は手を拱くばかりになるからだ。

 

 以前にも書いたが、もしTPPを「太平洋共同体」への足がかりとするなら、私は積極的に賛成したい。しかし、聞こえてくるのは逆の方向ばかりだ。日経はともかく、この経団連の悪あがきに、他のメディアがなぜ同調するのかわからない。しかもかなり強い調子で。大人の事情というやつだとしたら、なんとも度し難い話だ。