いつか石が叫ぶ日は来るか


受け皿たり得ぬ野党の主張 :日本経済新聞

 

 野党、いや民主党を責めてさえいれば簡単に勝ちが転がり込む、この選挙での自民党の戦略、というか幼児のわがままを丸ごと肯定するような社説だ。

 別にそれはそれでわかりきったことなので、わざわざ取り上げることもないかと思ったが、最後の一文に少々ひっかかった。

 

>日本経済新聞テレビ東京の世論調査によれば、「支持政党なし」が「自民党支持」よりも多い。狙うべき層はあるのにひき付けられないとすれば、魅力的な政策がないからだ。

 

 その通り。だが、魅力的な政策が無いのは野党だけではない。

 新聞が社会の木鐸たる役割を捨て、「政策提言」をしなくなったのはいつからだろう。以前は日経もしていたと思ったが。

 今はただ疑問やら苦言やらを呈してお茶を濁すのがせいぜいだ。

 それは「公正中立」であることを、過剰に求められるからか。

 ちょっとでもチクリとくることを言うとネットのイナゴどもが群がってきて、鬱陶しいことになってくるのを避けたいのか。

 しかし、野党のふがいなさにの根本は、新聞のふがいなさと重なる部分もある、ということをもう少し自覚した方がいい。

 

 「公正中立」なんてのは、何も言わないことでしか成立しない。

 何も言わない新聞など、落選候補の選挙ポスターほどの価値もない。 

 新聞が黙れば、誰かが代わりに叫ぶだろうか。インターネットはもはや沈黙を強制するツールとなりつつある。

 代わりに石が叫ぶ日を、渋谷に座る犬のように待ちつづけるだけなのか。

 

石が叫ぶだろう―アメリカに渡った日本人牧師の自伝

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