笑った鬼が泣くときは

 来年のことを言うと鬼が笑うそうだが、日経は毎年来年の社会状況についての予測を立てている。姑息なことに、本命・対抗・大穴としていて、大外れはしにくいように書いている。

 

日経大予測 2014年の日本はどうなるか

日経大予測 2014年の日本はどうなるか

 

 

 そこでちょっと意地悪をして、去年出た「2014年」に向けた予測に突いて目を通してみた。

 まあだいたいは、はやらない占い師のように堅実なことが書かれている。ハルヒコ日銀の追加緩和についても、「対抗」の予測として「ありうる」としている。まったく、何が「サプライズ」だか。

 で、肝心の「景気」についてだが、冒頭で予測されているので、簡単にまとめてみよう。

 

「本命」消費税増税で成長のペースは緩むが、回復基調は崩れず

  ……増税後にそのままマイナス成長が止まらず、景気後退局面へと突き進むリスクは、さほど大きくないと見てよさそうだ。

  ……消費税増税後の景気腰折れをなんとしても避けたい安倍政権は、補正予算の編成に動く方向だ。公共事業が支える形で、増税直後のマイナス成長が小幅にとどまり、その後も成長を底上げする展開は十分考えられる。

 

「対抗」海外経済が急減速し、マイナス成長続く

 ……景気の緩やかな回復が続くというシナリオにとって、最大にリスクは海外経済の減速だ。

 ……こうしたリスクが日本の消費税増税後に現実になった場合、マイナス成長が長引く可能性もある。国内では現在、個人の所得がなお伸びず、企業の設備投資も本格反転には至っていない。アベノミクスの中心である成長戦略も本格的には指導しておらず、海外経済の減速を補えるほど内需が強くなっているわけではない。

 

「大穴」所得向上で内需が好調。外需も貢献し、高成長に

 (あほらしいので、略)

 

 

 ……とまあ、こんな感じだ。こうしてみると「対抗」の記述がやや興味深い。もし増税が滑った場合、外需のせいにするというのは、この時から決まっていたわけだ。あと、「本命」の公共事業が支える云々は、あべぴょんの指揮ではほとんど効果が期待できないのだから、普通に考えればこの時点でかなりやばいことがわかったはずだ。それができなかったのは、やっぱりあべぴょんを「信じて」いたせいなのだろう。下司な信仰は理性の目を曇らす。

 

 それでも原油相場の暴落を「大穴」で言及していたのは、まあまあといえる。それから、TPPについては「難航」としていて、一応ここでは期待と現実を区別するくらいのことはできたいるのだな、と思えた。

 問題は経営・産業予測だが……このへんで渋すぎることを書くと、スポンサー様の不興を買いそうだから、しかたのないことかもしれない。