それは自らを腐敗させることとなる


民主主義の土台たる「知る権利」を守れ :日本経済新聞

 

 ある組織(社会)の中に、絶対不可侵の部分があると、その周辺部から腐敗し始める。これは例外なく起こることで、どれだけ厳しい規律を持ってしても防ぎようのないことだ。そして問題は、その周辺部の腐敗もまた、「不可侵」とされるようになる、ということだ。

 戦前の日本政府の事例が思い浮かぶかもしれないが、これは特殊なことではなく、ありとあらゆる組織(社会)に当てはまる、言わば「法則」である。

 触れることの出来ない部分を作る、ということは、自らを腐敗させる行為なのだ。

 

 さて、これでまた「報道の自由度」ランキングが下がることと思うが、このランキングが下がったのが原発事故以降であることを忘れないようにしたい。

 特定秘密保護法も、原発を保護する方向で使用されるだろう。原発は十分に「国家の安全保障」に関わるからだ。

 そしてメディアは、より一層の「公正中立」を求められるようになる。

 普段、原発を「公正中立に擁護する」日経は、その「知る権利」をどのように守るつもりなのか。

 

>この法律が取材の妨げとなって「知る権利」が損なわれることのないように、政府は慎重のうえにも慎重な運用をせねばならない。

 

 慎重な日経の取材が妨げられることはないだろう。

 日経はいつでも、原発にも政府にも「公正中立」に優しいからだ。

 

 

坂本龍一×東京新聞  脱原発とメディアを考える

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