頭を下げない人たちの不条理劇
あれは何年のことだったか。現職の運輸大臣が、成田闘争でがんこに居座っている人たちと会って話をする、ということがあった。「画期的である」として、テレビでも放送された。
運輸大臣は言った。
「海外の要人の方々からは、なんで戦車で引きつぶしてしまわないのか、なんて言われるんですよ」
反対派と呼ばれる家族たちは憤った。
「やれるもんならやってみろ!!」
その後この運輸大臣は、現職であるにも関わらず、選挙で落選した。
この時、ぐだぐだ言わずに「申し訳ない!」と土下座していたら、まったく展開は違っていただろう。「ただのパフォーマンス」と揶揄する向きも出てくるだろうが、状況は明らかに和らいだに違いない。
長らくゼネコンで営業していた人が言っていたが、大きな事業をすると必ず割を食う人たちがが出る。その人たちに対しては、「一升瓶下げて一軒一軒訪ね、土下座して回るのが、結局は一番の早道」なのだそうだ。
小役人には、それができない。
理詰めで「こうこうこういうわけで必要だ」とふんぞり返って言えば、相手は恐れ入ってしたがうものだ、と思っている。
ただそれができないがために、この諫早湾の事例のような「不条理劇」に、税金がつぎ込まれることとなる。
つまらんプライドにしがみついて、己一人だけでなく回りにも迷惑をかける、そんなことはやらない方が利口なのだが。
日経さんは「政権として」などと書いているが、幼稚なプライドで凝り固まったあべぴょんにできるわけがない。