考える前に足元を見た方がいいのではないか


M&Aの腕を磨いて世界展開の加速を :日本経済新聞

 日本のM&Aにはどんな成功例があるだろう?

 こう問われてぱっと実例が浮かぶ人はそうとうなものだ。

 日本のM&Aといえば、とんでもない価格で高値づかみをし、結局上手くいかずに安値で売り払う羽目になる、とFTが書いていた。

 それが「日本の法則Japanese theory」なのだそうだ。

日本の上場企業が持つ手元資金は過去最高水準の100兆円近くに達している。資金を漫然と抱え込むのではなく、新たな成長に向けて、M&A(合併・買収)を含めた戦略投資に踏み出し始めたことは評価できる。

 降ってわいた大金抱えて、銀座をうろうろする田舎者という図が目に浮かぶ。一昔前の松竹映画なら、すってんてんになって帰るところをフランキー堺が助けるとか、そういう喜劇を作ってくれそうだ。

 だが、国際社会で演じられる喜劇は、後味の良いものなど皆無である。

買収を成功に導くには、相手企業の持つ資産価値を正確に評価したり、買収後の統合作業を円滑に進めたりするための財務や人事の専門家集団の育成が欠かせない。今のような買収ブーム時には、本来の価値より高い値段を払ってしまう「高値づかみ」が起こりやすく、それにも注意が必要だ。

 なぜそこで、「無理だからやめろ」と言わないのか。

 海外に事業を展開しようとするとき、M&Aが上手くいけば非常に安くなるのは知っている。しかし、ずっと失敗してきた。日経さんがおっしゃる「専門家集団」も、ずっと育成してきた。それでも失敗する。なぜか?どこか別なところに問題があるのではないか。

 せっかく現場がギリギリの交渉をしているところへ、わけのわからん「本社の人間」がいきなり乗り込んで来ることとか。

 どのデータをみても「やめた方がいい」となっているのに、プレジデントで戦国武将の特集を読んだ社長の「鶴の一声」でひっくりかえることとか。

 交渉の場で責任者がつい、ぺこぺこしてしまうこととか。

 M&Aの巧拙が企業の盛衰を左右する。そんな時代が到来したことを経営者は肝に銘じてほしい。

 M&Aに頼らないやり方をなにか考える時代だと、そうアドヴァイスした方が良くはないか。

 カラスに鵜のマネはできないのだ。

 

日本のM&A 理論と事例研究

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