本の紹介

 

東北のすごい生産者に会いに行く

東北のすごい生産者に会いに行く

 

  今日は3.11だから、というわけでもないが、本を一冊紹介しておこう。

 米や野菜でお世話になっている農家さんが載っている、とのことで手に取ったのだが、なかなか読ませる本だった。

 奥田政行という、東北では知らぬ人のいないシェフ(山形でアル・ケッチャーノという地産地消のレストランを経営する)が、3.11以後の農家を尋ねて回る、という内容だ。

 政治的主張や統計などの小難しい部分は一切なく、震災による破壊と原発破損でばらまかれた放射能に対し、農家がどのように戦ったのかが過不足なく綴られている。

 深く突っ込んで考えたい人にはやや喰い足りないかもしれないが、あれから4年が経った東北の農家の現状について、改めて「生きた」情報を得たい人にはうってつけといえるだろう。

 朝日新聞に載った東某とよく知らない作家の対談などより、何億倍もマシである。

 過去にこだわらず、かといって忘れもせず、それでいて未来を見失わない、そんな農家の態度にはまったく頭が下がる。こういうのを本当の「未来志向」といういうのだろう。