確かに学校など行かなくてすめばそれにこしたことはないが

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 イリイチの「脱学校」を思い出さないでもないが、こちらのほうはどうも生臭さがただよう。

 

端緒になったのは昨年の教育再生実行会議の提言だ。 

 

 教育再生実行会議と言えば、メンバーに曾野綾子アパルトヘイト万歳や八木秀次@安保法制は合憲を含む集まりである。

 他の提言を読むと、いかにして教育に行政が手を突っ込むか、という能書きが目白押しで目眩がする。

 まあ、この社説に書かれている範囲に限るなら、悪いことのようには思われないが……

 

 だが少しひっかかることはある。

 その昔、ヨーロッパの貴族は学校などに通わず、家に家庭教師を呼んで子弟を教育した。

 結局この制度を利用するのは富裕層に限られる、ということが将来的に起こりはしないか。それは新たな「貴族」を日本に作ることになってくる。

 すでに、金持ちと貧困層では、通う学校に違いが出てきているが、さらにそれを分け隔てるとば口にならないだろうか。

 

フリースクールなどを学校復帰までの一時的な場所としてではなく、学校とならぶ多様な教育機会のひとつとしてとらえる意見が主流だ。 

 

 とりあえず、ここまではよい。文句のつけようがない。

 ただこうした文句のつけようがないところから、暗い根のようなものが浸透することは間々あるので、注意したいところだ。

 バカバカしい妄想だとは思うが、愛国教育のフリースクールなどが作られる、というようなことである。しかし、最近の「保守」のバカさ加減は、こっちがバカバカしいと思うようなことをさらに上回ってくるので油断がならない。

 

 

脱学校の社会 (現代社会科学叢書)

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