集団的自衛権にどのようなメリットがあるのか。
ローマが帝国となったころ、「それはメルクリウス神になんの関係があるのか」という言い回しが流行った。
メルクリウスはギリシア神話のヘルメスにあたるものとされるが、ローマでは商業の神とされていた。
つまり「メルクリウス神との関係」を問うということは、「それはどんなメリットがあるの?」と訊いているわけである。
ローマは国の威信などよりも、メリットのあるなしを優先し、それが巨大な帝国を形成させた。
さて、では「集団的自衛権」にはどんなメリットがあるのか。
「理解しろ」というわりには、それによってデメリットを防ぐという話ばかりである。そのデメリットも、いつ現実になるのやらさっぱりだ。
集団的自衛権を導入することのデメリットなら、いろいろある。しかも直截的なものだ。
まず単純に、軍事費が増える。まあ、2、3倍はいくだろう。「それでも国が守れるなら安いもの!!」と「保守」はわめくのだろうが。
そして、外交がこれまでのように単純に行かなくなる。どのように複雑になるかというと、竹島と北方領土をあきらめなくてはならなくなる。
これ、「保守」の連中は気づいているのかいないのか、まったく口にしない。
北方領土については、つい最近ロシア側から動きがあった。
まあ、集団的自衛権を実行するからには、ウクライナに自衛隊が行く事態もあろうから、ロシア側としては当然の措置である。
竹島についても、米韓は同盟関係にあり、もちろん集団的自衛とやらを行っている。日本も同様にするからには、日韓の争いのタネは棚上げとなり、その場合韓国の実効支配という現状をアメリカは支持するだろう。日本政府は二度と竹島について、問題を持ち出すことはできなくなる。
もう少し続けよう。
最近日本と中韓の外交について、重要な動きがあった。
この二つ、これの重要性を理解した人間は、私の目に入る範囲では一人もいなかった。例によって、反日反日と騒いだ連中がいただけである。
現政権の幼稚極まる外交姿勢にはまったく期待できないので、別方面から動いたわけだ。
二人とも元総理であり、格として申し分ない。
村山病欠はややまずいかと思われたが、中国内では「出席」と報道されたようで(読売の情報)、まずは良好な結果となった。
なぜこれが重要かというと、これから日本は中韓と軽々しい敵対などできなくなるからである。
これも、集団的自衛権と関わってくる。
なぜなら、イランと核合意を交わし、キューバと国交を開いたオバマの次の目標は、北朝鮮だと察せられるからだ。
それには6カ国協議の再開は必須であり、今度は最終的に南北統一までいくことも考えているだろう。
そしてそれは、そのために軍事衝突もありうる、ということである。
そのとき、日本だけ戦わないとは言えない、というわけである。
もし来年にも南北統一が外交スケジュールとして上がってきているのなら、公明党が賛成してしまうのもむべなるかなというところだ。
とまあ、考えては見たが、実際この事態が起きたとしたら、集団的自衛権などへのつっぱりにもなるまい。
日本がミサイルの標的になるだけで、なんのメリットもない。
もしかして、ミサイルが打ち込まれたとき政府への批判をそらすために、人種差別撤廃しようとしないのだろうか。
おっと、けっこう妄想がかってきたので、この辺にしとこう。