むしろバラマキをもっと
バラマキ財政のことを英語でporkという。由来は忘れた。少なくともクックパッドの豚ばらまきレシピが美味しい、とかいうことではない。しかし、porkにも「バラマキ」にも、渡す側と受けとる側に対する侮蔑がこめられているのを感じとることは出来る。
実質経済成長率は7~9月期まで2四半期連続のマイナスとなったが、政府は今回の補正予算案を景気対策とは位置づけていないようだ。
財源は前年度の剰余金や15年度の税収の上振れ分を使い、新規国債の追加発行は見送るという。
余分にお小遣いが入ったので、選挙に向けての人気取りに使おうというわけである。
今も低所得者向けに年6000円の臨時福祉給付金があるが、それと比べても3万円はかなりの大盤振る舞いだ。
いや、全然。
低所得者なら若年層にもいるが、なぜこの給付金は年金受給者だけが対象なのか。そもそも来年の参院選を意識したバラマキ政策ではないか。一定の低所得者対策は必要だが、今回の給付金には疑問が多い。
バラマキが悪いんじゃなくて、金額が少ないことが悪い。そして日経さんが指摘する通り、対象が一部に限られていることも良くない。
見え見えの選挙対策だが、それでも多くの高齢者は自民党に投票することだろう。
日本経済の最大の課題は、持続的な経済成長と財政健全化の両立だ。財政出動で一時的に景気を押し上げるのではなく、構造改革で潜在成長率を高めるのが急務だ。
「脳内お花畑」というフレーズをネットで見かけるが、それはたいてい左翼の理想主義を揶揄する意味で使われている。そんなのより、こっちの日経さんのものいいのほうが、よっぽど「お花畑」だと思うのだが。ずっとその理想を追い求めて、20年が失われたことにまだ気づかないのか。それとも気づかないフリをしているのか。
補正予算案はその目的にあった、費用対効果の高い中身に絞り込んでほしい。野放図に歳出を積み上げるよりも、新規国債発行額を減らして着実に財政健全化を進める視点も忘れてはならない。
次の参院選が終わればあべぴょんは改憲を目指し、さらにはテロ対策とやらで軍事費(ああ、防衛費とか言うんだっけ?)を「野方図」に積み上げてくることだろう。
そして、日経さんはそのことについては、「仕方がない」と受け入れることだろう。
財政の健全化よりも、日本の健全化に気を配ってもらいたいものだ。