サンタなんかいない
社会保障費を賄う安定財源としての消費税はいずれ10%を超えて上げる必要があるだろう。ただ、社会保障費の膨張に歯止めをかけなければ、際限のない増税を強いられかねない。だからこそ社会保障制度の効率化は急務となる。
福祉のために消費税が必要なら、なぜ目的税化することを提案しないのか。
3つ問題がある。第1は所得や資産にゆとりのある高齢者に負担を求める改革に踏み込んでいないことだ。
第2は子ども・子育て支援だ。幼児教育無償化の対象を広げたりひとり親家庭に配る児童扶養手当を増やしたりするのは妥当だ。
一見まともそうだが、よく見るとおかしい。
所得や資産にゆとりがある高齢者の不興を買うことなど、自民党政権に出来るわけがない。
少子化対策については妥当としつつ、小粒だとかぬかす。具体的なことは何一つ言っていない。
あと、逆進性の解消をたてにマイナンバーの活用を言い立てているが、結局は福祉自体の削減につながることになるだろう。日経さんもその辺を狙っているはずだ。
だいたい福祉制度自体、多少の逆進性は仕方ないというか、かえって必要なくらいだ。それをなくそうというのは、一見良さそうに見えるが、福祉そのものを薄めてしまいかねない。
日本では、税は自民党税制調査会と財務省、社会保険は厚生労働省と縦割りでバラバラに制度設計をしてきた結果、効率性や効果に乏しい制度を温存してきた。
社会保障制度を持続可能にするとともに、財政健全化の道筋を固める。そのためには社会保障制度と税制を一体的に抜本改革する必要がある。
日経さんが福祉に対して「効率化」「改革」を口にするとき、それはただの「削減」であることが多い。
今はむしろ、いかに効率的に「増やす」かが問題とされるべきだ。
日経さんのクリスマスの社説は、いい子にして大人しく待っていると、サンタじゃなくて泥棒が侵入してくるというたぐいのものである。それはどんなに戸締りを厳重にしていても入ってきてしまう、非常にタチの悪いやつらなのだ。
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