グローバル化の副作用としての格差拡大が引き起こす病としての「保守」

 どうやらこの社説、続き物だったようだ。

 しかし、ごちゃごちゃした物言いで、さっぱりまとまりがない。

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 さらに、まとまりがないだけでなく、認識が甘い。

 

欧米のような反グローバル化の動きは日本ではまだ目立っていない。だが経済成長の伸び悩みが幅広い層の人々の生活や人生設計を不確かにしており、不満の芽が静かに育っているおそれがある。 

 

 まあおそらく、あべぴょん政権への支持率が高いことが日経さんの目をくらませているのだろうが、反グローバル化がそのまま社会への不満に結びつくとは限らない。そのあたり、日経さんの認識は口どけなめらかプリンよりも甘い。

 

 まず、「グローバル化」とは何か。

 国境を越えた経済活動が活発になるわけだが、するとそこに何が起きるか。

 国境を「越えられる者」と「越えられない者」が出てくる。

 「超えられる者」は国境の向こう側の「越えられない者」から利益を得る。

 その利益が過剰で不当であっても、「国境」を越えられないのだから、「越えられない者」は政府を動かすなどして「越えられる者」を規制できない。(TPPはその規制自体を罪としている)

 つまり、「越えられる者」同士が国境ごしに互いの「越えられない者」を搾取できるようになる。

 

 こうした利益の構造を守るために、国境は「越えられる者」にとっては低く、「越えられない者」にとっては高くある必要がある。

 そうすることで「超えられる者」はより一層利益を得ることができるからだ。

 ここに置いて、「超えられる者」と「越えられない者」との格差が広がる。それは、「国境」を高くする(「越えられない者」つまり下々にとって)ことで叶えられる。

 それゆえ、「越えられない者」の国境を高くする「民族主義」などは、グローバル化にとてもよくマッチする。

 やがてそれは腐敗し、「排外主義」へと変質する。

 トランプを生み出したのは、「反グローバル化」ではなく「グローバル化」の方だと言ってもいいだろう。

 さらに、現在の日本に巣食うヘイトスピーチを垂れ流す連中も同じである。そうしたやつらがあべぴょん政権を支持し、政権を揶揄する人間を罵倒しているのだ。あべぴょんの支持率の高さは、拡大した格差のおかげである。

 日本の「反グローバル化」は、社会への不満ではなく、国境を高くする「保守」への支持へと変貌している。

 

 ぶっちゃけてしまおう。

 格差の拡大がなぜ悪いのか。

 それは「バカが増える」

 ということに尽きる。

 しかも、自らのバカさ加減にプライドすら抱いているのだ。

 それは支配者にとって都合がいいのかもしれないが、やがては国家自体を蝕む「病」となる。

 

 

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