日経さんと北風

罪万死に値する失政である。

鳩山由紀夫首相が繰り返し表明した5月末までに米軍普天間基地の移設問題を決着させるという約束はほごにされた。日米両政府は普天間基地の移設先を沖縄県の「名護市辺野古」周辺と明記した共同声明を発表したが、代替施設の工法などの決定は8月末に先送りした。

連立政権内の調整は土壇場まで迷走。辺野古への移設に反対し、閣議での署名を拒んだ福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)を首相が罷免する事態にまで発展した。

(中略)

辺野古案しかありえぬ

混乱を招いた大きな原因は、なぜ日米同盟が必要なのかという基本的な知識すら、首相が持ち合わせていなかったことだ。首相は有事に即応できる沖縄の米海兵隊が果たしている紛争抑止力について、当初、理解していなかったことを認めた。米海兵隊が沖縄にいなくても、抑止力に支障がないと考えていたという。

しかし日本とアジアの安定にとって、在日米軍による抑止力が必要であることは言うまでもない。日米同盟の修復を急がねばならない。

韓国哨戒艦の沈没事件で朝鮮半島情勢が緊迫するなか、北朝鮮が新たな軍事的な挑発に出るかもしれない。中国は海軍力の増強を加速しており、海上自衛隊護衛艦に異常接近する事件が相次いだ。こうした危険に囲まれた日本の安全を守るには、強固な日米同盟が欠かせない。

とりわけ重要な役割を担うのは、朝鮮半島台湾海峡に近い、沖縄の在日米軍だ。普天間などの米海兵隊基地を沖縄から撤去できないのはこのためだ。政府はこうした事情を丁寧に地元や国民に説明し、普天間基地辺野古への移設に支持を取りつける責任がある。それを再確認するきっかけにするしかない。 

 

 「罪万死に値する」だってさ。

 これは2010年5月29日の日経さんの社説である。北風ぴゅうぴゅうと凄まじい。

 そして日経さんが信じてやまないあべぴょんが政権にある今、日経さんの社説がいかにお日様ポカポカ縁側ぬくぬくであることか、当時と現在とを比べると非常によくわかる。

 

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 政府側に万々歳な判決が出たが、これで問題が収まるものではない、というのは正しい認識である。

 しかし、今まで散々北風を吹かしておいて、すっかりこじれたところへ少々お日様を照らしたところで、どれだけの効果があるというのだろう。

 こじれきった現在の状況こそ「罪万死に値する」と思うのだが。