まだドイツに学び足りないのか
シュレーダーの改革をアベノミクスに!てな話は、もう飽きるほど聞いた。
ネットでちょっと検索しただけでもこれだけ引っかかる。
結構以前から言われていたことだ。日経さんに今更念を押されなくとも、アベノミクスはシュレーダー改革の状況に似てきている。
両方とも、労働者をチープ化することで賃金を抑制し、企業の利益を増大させた。
当然の結果として、ジニ係数は悪化し、格差を拡大させている。
違いは、ドイツ企業は競争力をアップさせたのに対し、日本企業は内部留保を溜め込みはしたが、それが競争力につながっていないということだ。東芝やシャープや三菱自動車を見ればよくわかる。
それとも、日本はトヨタやホンダがあれば良いのだろうか?
そういえばシュレーダーは元フォルクスワーゲン監査役であり、自動車業界との癒着から「自動車財務大臣Auto-Kanzler」とあだ名されていた。のちにフォルクスワーゲンの排ガス不正が明らかになった時、シュレーダーの名前が取りざたされたこともあった。
まあ、良いことなら他国から学ぶに吝かであってはならないと思うが、
ドイツの改革で見逃せないのが、労働改革を社会保障の改革と一体で進めた点である。失業給付の制度を生活保護と併せて再編成し、紹介された職を拒んだ場合は給付を減額する制度を設けた。
当時失業率が11%あった福祉国家のドイツと、失業率3%代で福祉を容赦無く削減している今の日本で、同じことをする必要があるだろうか?
ドイツは福祉国家だったが、日本が福祉国家になったことは一度もない。ドイツはその経済の大半を輸出に頼っていたが、日本は個人消費こそがメインであった。
現時点でのアベノミクスの停滞は、個人消費の不足が大きな原因である。
これは労働力の流動化などというセリフで、労働者を一層チープ化させても解決できないことだ。
どうせなら、シュレーダーが2002年に原発全廃を決めたことに学んでもらいたいが、日経さんは言わないだろうな。