欲望としての世論に敏感だからこそ長く続いていると思うがね
なぜ安倍政権はだらだらと青っ洟のように続くのか。
それはこの政権が十二分に「世論」に敏感だからだ。その「世論」とは、日経さんや大マスコミの皆様が気にしてやまないような類の世論ではなく、畳の下いっぱいにヤスデが巣を作っているかのような、欲望としての「世論」である。
その「世論」に対して忠実だからこそ、
この20年あまりの統治機構改革によって、首相の権限は以前よりかなり強くなった。独裁者になってしまうのではないか。
と、あべぴょん信者の日経さんまでが案ずるような状況になっているのだ。
では、世論は何を欲望しているのか。
それは「勝利」である。
では何に対して勝利するのか。中国か?韓国か?それともアメリカか?
そのどれでもない。世論が欲望してやまない勝利とは、戦後日本社会を端なくも支えてきた理性に対するものである。
だからこそ、あべぴょんが総理であり、どんなことをやらかしても高い支持率を保っていられるのだ。
想像してみればいい。もし自分の上司があべぴょんだったら。学生ならば、担任の教師があべぴょんだったら。
坊ちゃん育ちで、自分の言うことが全部通るのが当たり前で、そうならないときはそうなるまでしつこく食い下がり、ちょっとでも反論すると甲高い声で訳のわからないことを喚き散らすのだ。
こんなのが上にいたら、とても耐えられまい。
しかし、自分が多少嫌な気持ちになっても、自分以上に嫌な気持ちになる人間がいるならば、そしてその人間への嫌悪が多少の嫌な気持ちにまさるならば、あべぴょんのようなのを上に戴くのもよしとしてしまうのである。
人々が、いびつなものであっても勝利を願うのは、今の自分たちが勝利できていないという自己認識からくる。
そうした歪んだ認識を撒き散らし、定着させることに勤しんだのが「保守」であり、それは今の所成功していると言えるだろう。
しかしそれは、国の状況を非常に危ういものにしている、というのも確かなのだ。