やけっぱちの日経さん
トランプ大統領爆誕とやら。正直驚きはしたが、すぐに冷めた。日経平均と同じようなものか。こちとら史上最低の総理大臣による長期政権にお付き合いさせられているのだ。なまじっかなことで崩折れたりはしない。
で、日経さんはどうかというと、愛してやまないTPPがほぼ絶望ということで、ひどい取り乱しっぷりである。
トランプ氏はカナダやメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉するとも主張している。
もしもメキシコや中国からの輸入品に高い関税をかければモノの価格が値上がりし、低所得者の生活を圧迫して個人消費は下振れしかねない。「中間層を破壊する」といった主張で自由貿易を敵視する姿勢は撤回してほしい。
トランプが敵視しているのは、自由貿易ではなくそれに名を借りた欺瞞である。
グローバリズムは国境を低くすることはなく、国境を「越えられる者」と「越えられない者」との間に、国境以上の高い壁を作り出す。
「越えられる者」は国境越しに互いの「越えられない者」を搾取するが、「越えられない者」は国境を越えられないが故に、国境の向こうの相手に反撃することができなくなる。
トランプは「メキシコとの国境に壁を作る」という、わかりやすいヴィジュアルで人々の心を捉えた。
しかし、グローバリズムの問題について正確な認識ができていなければ、早晩その歩みは撞着に陥るだろう。
「越えられる者」と「越えられない者」との格差は、国境に築かれる壁が高ければ高いほど、「越えられる者」に都合よく広がるからだ。
びっくりした株価がとっとと元に戻ったのは、「越えられる者」たちそのことに気づいたからではないのか。
TPPに代表されるグローバリズムに問題があるのは、グローバリズムがむしろ国境を高くしていること、さらに国境を高くしようとする国内の右派的な運動と矛盾なく連動してしまうことにある。
主要先進国の中で日本はもっとも政治情勢が安定し、安倍晋三首相は比較的高い支持率を保つ。今こそ日本は自由貿易の守護者として世界を引っ張る時ではないか。
最後のこの一節、そのあとに「などと意味不明な供述をしており」とくっつける、ネットで見かけるネタにぴったりと言えよう。
意味不明でありがたいのか――お経は日本語で(祥伝社新書221)
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