それより「デマに強い社会」が先決では?
これ、ロシアばかりが悪いわけではない。ネット空間というものが、そうした「汚染」に親和的なのだ。
今もその「偽ニュース」は事あるごとにばらまかれていて、それを指摘されても「そんなデマを撒かれるクリントンの方が悪い。彼女がきちんとした人間なら、そんなデマ広まらなかったはずだ」と張本人は開き直るのである。
おや、どこかで見たような風景だ。
まったく、ネット空間の「汚染」については、日本はアメリカの先を行ってると言える。なんたって、デマをばらまいた本人が総理大臣になっているくらいなんだから。
もっとも、サイバー攻撃の完封は不可能に近い。また、偽ニュースを排除しようとして情報の自由な流通をさまたげれば、かえって民主主義の基盤を損なう。
10年以上インターネットの有様を見てきて、おおよその人はネットに自浄能力は期待できない、と気づいたことだろう。
であるにもかかわらず、誰もが手をこまねき、誰もが口ごもっている。インテリと呼ばれる人たちですらも。2ちゃんねるとやらでは、「嘘を嘘と見破れないと匿名掲示板は使いこなせない」と賢しらなことをぬかす奴が幅を利かせている。昔からクソ生意気な小僧だったが。
なぜそのようなことになったのか、という分析はさておき、旧来のマスメディアが当然なすべき役割があるはずだ。
特に、ネットに押されがちな紙媒体において。
それはネットにばらまかれている稚拙なデマについて、きちんと取り上げてはっきりと批判することだ。
ネットの外側の「紙」だからこそ、それは有効なはずだ。
ネット空間は必死で批判を無効化しようとするだろうが、それはいわゆる「ブーメラン」にしかならないだろう。
大切なのは、情報の真偽と、その裏にひそむ政治的な思惑を見極める力を、有権者が身につけることだ。サイバー攻撃などの干渉をおそれるあまり、政府や政党をふくめ自由社会がIT(情報技術)をいかした革新を怠れば、むしろ「敵」の思うつぼだろう。
日経さんは「有権者」にボールを投げて、ご自分は知らぬふりのようだ。
もしかすると、日経さんも「ブーメラン」を恐れているのかもしれないが、向こう傷を避けるようなら新聞なんかとっととやめてしまうことをお勧めしたい。