最後の最後に若者が離れていくもの
これ、人口動態とか色々な問題が含まれているわけだが、
全国で空き家が急増しているように、住宅はすでに量的には足りている。人口に続いて20年ごろには世帯数も減少に転じることを考えれば、新規建設よりも既存住宅の有効活用へ、住宅政策の重点を大胆に移す必要がある。
という、日経さんの提言は満願堂の芋きんよりも甘い。
まず、既存住宅はもはや有効活用などできない。ほとんどが「不良資産」である。目黒、赤坂のような場所ですら、うっかり中古住宅を遺産相続したりすると、固定資産税に頭を悩ます仕儀となる。面倒だから売ろうとしても、これがなかなか売れない。
もちろん大地主やビル・オーナーであればその限りではないが、地方ではそれすらも不良資産となりつつある。売るに売れない山林や、外装がボロボロのままのビルなど、持てるものが頭を抱えている。
なのに不動産屋の頭の中には今も「土地神話」が息づいており、
日本では住宅の建物の価値は築20年を超すとほぼゼロになる場合が多い。かつての土地神話を背景に「土地さえ評価すれば建物は無視してもいい」という市場慣行があるためだ。これでは家を適切に修繕する動機づけにならない。
この慣行はまったく揺るがない。
日経さんはそれに対して、
しっかりと維持管理してきたかどうかが中古住宅の価値に反映される仕組み
があれば良いとする。
何だろう、原発も基準をクリアすれば40年過ぎても稼働して良い、とかそういう発想だろうか。
現在、一番求められているのは、新築で住み心地が良く、家賃の安い「貸家」である。「持ち家」はその次にくる。ただし、「新築」であれば、だ。中古住宅を土地付きだからといって買う人間は少ない。理由は数多あるが、日本の土地がまだまだ割高だ、というのが大きい。であるにもかかわらず、不動産取引は「神話時代」のままである。割高でも土地が売れたのは、「土地は必ず上がる」という神話があってこそだ。
売れないのならば貸し出して、せめて固定資産税くらいは稼ごうと考える。それが普通である。
中古でも上物をきちんとすれば売れるはず、というのは、日経さんのおつむの中にもまだまだ「土地神話」が息づいてる証拠だろう。
まあそのうち、「若者の車離れ」と同じく、「若者の土地離れ」が言われるようになるんじゃないかな。