自分の足を食うとタコは強くなれるのか

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 最高益だそうで、おめでたい限りなんだが、

 

本紙集計によれば上場企業の2017年3月期は売上高が3%減る一方、純利益は11%増えて2期ぶりに過去最高となる見通しだ。減収増益の決算が示すものは、ここ数年で日本企業が進めた事業再編や合理化の効果だ。 

 

 ということだそうで、タコが自分の足を食ってとりあえず腹がいっぱいになった、というところである。

 最高益だからといって喜んではいられない、というのは日経さんのいう通りだ。

 

日立は非中核と位置づけた黒字の子会社、日立工機の売却も決め、インフラ事業などに集中する方針を改めて示した。 

 

 黒字の子会社を売れるうちに売っておく、と。インフラ事業とは、原発を含む諸々であろう。

 失墜する東芝を横目に、何やら慌ただしいようにも思える。

 ちなみに、日立工機の株の売り先は、KKR(Kohlberg Klavis Roberts)という有名な「ハゲタカ」である。悪名高いLBOを始めたのがここだ。

 さらに日立が抱える原発の案件宛に、日本政府が1兆円の支援を決定したのは昨年末だった。

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 まあ、なんというか、お気をつけて。

 

 その他の実例も

 

 たとえば不採算品を減らしてきた三井化学は今期、1割の減収だが10期ぶりの最高益となる見通しだ。機能性肌着の販売に力を入れたグンゼは2%の微減収にもかかわらず、最終損益が黒字に転換するという。

 

 とまあ、微妙な話ばかり。なんというか、冬の気配を感じて身を縮こませているように見える。

 そしてそれは、

 

企業の最善策は環境に左右されにくい収益構造を築くことだ。 

 

 という日経さんの提言にも表れている。

 一見正しいことを言っているように見えるが、いかなる環境にも適応し、さらなる荒波をも乗りこなしてこそ、企業にとっての「最善」である。

 「環境に左右されにくい」などというのは、お役所の考えることだ。

 そうした「お役所」な方向を目指してインフラ事業構築を焦ったのが、東芝をぼろぼろにした「失敗の本質」である。日立が同じ病に取り憑かれていないか、どうか。

 

 ところで、フィナンシャルタイムズの方はいかがですか?日経さん。