座敷犬、主人に吠える
国有地をただのような値段で譲渡するという、非常に「経済的」な犯罪について国会でやりとりがあるにも関わらず、日経さんの社説はずっと見て見ぬ振りをしたままだ。
どこが日本「経済」新聞なんだか。まあ、産業「経済」新聞なんてのもあるから、そういうものなのかもしれないが。
ところが、今回のまったく経済的でない、というか知性的ですらない発言については、いきなり自民党に吠えかかっている。
自民党の国会議員はなぜ2009年に政権の座からすべり落ちたかを思いおこすべきだ。長年の自民党政権に嫌気がさした有権者の「懲罰投票」だったとされるからだ(小林良彰著「政権交代」)。
この国民にしてこの政府あり、と古人はいった。この選挙区の有権者にしてこの国会議員あり、などといわれては当該選挙区の有権者にとって迷惑千万だろう。
われわれの懲罰の一票が集まれば何がおこるか、自民党は心しておいた方がいい。
急にどうしたんだ、という感じだが、日経さんはご自分のところで調べた内閣支持率や政党支持率について、どうお考えになっているのだろうか。
もしかして、この社説を書いた人は「あんな数字は信用ならない」とお認めになっている、ということなのだろうか。それならそうと、はっきり書いてくれたらいいのに。
背景には安倍1強体制のおごりやゆるみがあるのは間違いない。野党が弱体で自民党内でも対抗勢力がなく、政権へのチェックが働かない。
その一強体制が出来上がってしまったことについて、日経さんはご自身にはなんの責任もない、としらばっくれるおつもりか。
さらに、「政権へのチェック」を野党にばかり任せ、ご自分ではさっぱり動くつもりがないようだ。
マスメディアがそんな調子で、チェックは野党にお任せ、懲罰は投票者にお任せ、という態度では、あの政権が真摯に反省などするわけがないとわかりそうなものだが。
「懲罰投票」なんぞときゃんきゃん喚く前に、ご自分が批判すべきを批判するのが先なんじゃないのかね。