経営者には性善説、労働者には性悪説

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 労働者という連中は、目先の欲望のみ踊らされる、考えなしの反知性的な存在である。

 経営者というのは一種の聖人であって、欲望は大きく射程の長いものであり、常に社会について思考し続けている。

 

 …というのが日経さんの基本姿勢である。

 でなければ、こんな恥知らずの社説は書けないだろう。

 

 そのなかで企業に考えてほしいのが、非正規で働いていた人の処遇改善も確実に進められる限定正社員の導入だ。

 労働時間を「限定」したり、勤務地を限って転勤せずに済むようにしたりするこの雇用形態は女性の活用に役立つ。仕事と家庭の両立に悩む女性の就労を支援する。

 技能を持った高齢者の受け皿にもなる。企業は限定正社員制度を競争力向上に生かしてはどうか。

 

 「限定正社員」などと、さもさも良い思いつきのようにして書いているが、要するに労働者諸君は聖人君子たる経営者様さまが正しい道に導いてくださるのを期待しろ、というわけである。

 人間に欲望はつきものであり、資本主義は欲望抜きには成立し得ないと思うが、日経さんは無私無欲で成立する資本主義がどこかにあるとお考えのようだ。

 それは永久機関やフリーエネルギーのような、オカルトまがいのものに思えるのだが。

 

 

永久機関で語る現代物理学 (ちくまプリマーブックス (81))

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