生産性向上より「生活」の向上を

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 例によって「企業経営者には性善説、被雇用者には性悪説」という信念のもと、勘違いした社説をのたまってくださっている。

 企業が自身の利益を最大化するのに一番お手軽な方法が、人件費の削減なのだ。それは奴隷が経済単位としてあった古代から変わらぬ伝統である。

 企業と労働者の利益は、賃金という点において相反する。企業はなるべく賃金を上げないように「努力」するし、スキあらば下げようとする。

 

 求められるのは最低賃金の引き上げと企業の生産性の向上が歩調を合わせ進むことだ。そのための環境整備が政府の役割である。

 

 「空想的社会主義」というものがあるが、日経さんが常日頃述べ立てるのは「空想的資本主義」とでも呼ぶべきものではないのか。

 労働者の最低賃金の引き上げは、ほっておくとすぐに滞る企業から労働者への支払いを促すもので、労働者の生産性向上を促すためのものではない。日経さんは「歩調を合わせる」などという、稚拙なレトリックでごまかそうとしているが。

 企業の生産性向上なら、むしろ法人税減税によって求められるべきだろう。しかし、日経さんがそのように企業に注文をつけたことは「記憶にない」(どっかで書いてたらごめんな)

 

 最低賃金の引き上げによって向上しなくてはならないのは、労働者の「生産」ではなく、「生活」の方である。

 そして、それにはまだまだ引き上げが足らない、というのが現状なのだ。