アメリカとイラン∽日本と北朝鮮

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 せっかくの合意を破棄しようというトランプの動きは、オバマ外交の成果を貶めること、米国内に根強くある反イラン感情に訴えること、それによって支持率を高めようという目論見がある。

 イランとの間に「敵対的共犯関係」を結ぼうと必死に「ラブコール」しているが、現政権は思春期真っ盛りだった前アフマディネジャド政権よりずっと大人なので、なかなかスムーズにいかないようだ。

 こうした幼稚な外交は、問題をこじれさせるばかりで、さっぱり解決には向かわない。しかし、トランプはそれで構わないのだろう。問題は外交より、自分の国内での人気だからだ。

 大衆の抜きがたい「憎悪」に乗っかった政治をしようというのは、日本という成功例があるため真似しようとしているのではないか、と思える。日本と北朝鮮の間にある「敵対的共犯関係」を見習って、ミサイルを「愛の証」にしてしまえば、思う存分ラブレターを受け取ることができるのだ。

 実際、アメリカとイランの間に横たわる「憎悪」は、日本と北朝鮮の間にあるそれと相似している。

 

 さて、ここでもう一つ、比喩ではなくリアルな問題がある。

 北朝鮮とイランの間にパイプがある、ということだ。

 アメリカが今後、北朝鮮の「ラブコール」にどのような態度をもって臨むのか、予断を許さないところである。

 しかし確実に言えるのは、ここでイランとの核合意を廃棄するなら、それは明らかに北朝鮮を利する行為だ、ということだ。

 イランが産油国であることを忘れているのだろうか。

 そのせいでまたも北朝鮮が元気付くなら、それによって日本の現政権の支持率がアップするだろうから、日本の「保守」にとっては都合がいいんだろうがね。

 

真夜中のラブコール

真夜中のラブコール