そのうち日本だけでTPPすることになるんじゃないの?

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 今日はせっかくなので、一昨日の社説を取り上げたい。

 日経さん、というか、日本のマスコミや財界が熱心なTPPについて、悲報がもたらされたからだ。

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 ニュージランドで政権交代があって、どうやらTPP見直し、場合によっては脱退も視野に入れている、とのことである。

 これに対して日本側は、「10カ国ででもやる」と、あくまでTPPにしがみつく意向だ。

 ニュージーランドはただの参加国ではなくて、日本とオーストラリアと共に「先導役」に位置付けられている、らしい。

 「らしい」というのは、勝手に日本側が位置付けている「らしい」からだ。

 日本は「TPP絶対反対」を掲げて選挙を勝ち抜いたとこが政権党になっているはずだが、いつの間にやら一番積極的な旗振り役である。

 アメリカが抜けた今、ニュージーランドも、そしてオーストラリアも、かつての熱は冷めていると聞くが。(日本では逆のことを書いてる人もいるけどね)だいたいニュージーランドは、かねてから腰が引けていて、あれこれと注文が多かったんだから、ここで抜けても何の不思議もない。

 

 で、日経さん、というか、日本の財界の目論見なんだが……

 

TPP11が発効すれば、今後の米国との交渉戦術にも有利に働く。米国は今後の2国間交渉で自動車、農産物など個別品目で日本に市場開放を迫ってくるだろう。

 TPP11が発効していれば、日本がそこで受け入れた自由化措置の水準が基準になる。さらに、TPP11があれば、米国に将来枠組みに戻ることを説得し続けることができる。

 

 一昨日の時点でも、随分混乱したことを言ってるな、という感想だった。

 だいたい日米FTAは日経さんも昔は大賛成だったじゃないか。自動車・農産物の市場開放だって「構造改革」の一環じゃなかったっけか。

 トランプが「アメリカ・ファースト」の保護主義を掲げているから、ということなんだろうが、そのトランプと仲良しアピールをしているのは、どこの国の首相だったっけ?

 トランプがあべぴょんとの会談のすぐ後にTPP脱退したのは全くお笑いだったが、あべぴょんはその後もトランプにすり寄るばかりだ。

 無駄にプライドの高いアレのことだから、てっきり激おこぷんぷん丸(最近憶えたネット用語)で、トランプと距離を置くかとと思ったら、全くそんなことはなかった。どうやら、「お仲間」認定した相手には、限りなく卑屈になれるらしい。

 そんなあべぴょんがどんなにヘマをやらかしても「信じて」ついていく日経さんなわけだが、あんな卑屈のカタマリが首相なら、日米交渉はとてつもなくスムーズに運ぶことだろう。日本が限りなく譲歩するからだ。

 それをまた「安倍外交は百点満点!」と褒めそやさねばならない人たちの苦労が今から偲ばれるわけだが、「TPPを早くでっち上げて、それでもってアメリカに圧力を」という日経さんの物言いなんかは、その苦労をすでに先取りしたような「無理」がある。

 

 前々から言っているように、もしTPPが「環太平洋共同体」を形成するためのものなら、諸手をあげて賛成したい。だが、実際そんな動きはノミのすね毛ほどもない。

 さらに、FTAが結ばれるなら、双方の国家間での「政治」の敷居も下げるべき、というか理想的には無くすべきだが、そのような例は聞いたこともない。

 現実の「経済」は常に政治とセットになっており、単独で扱うと鎖を切ったピットブルのように、そこら中の動物を噛み殺してしまう。

 経済を政治から切り離して扱うのは、経済学者様の論文の中だけにしておいてもらいたいものだが。

 

闘犬記―アメリカン・ピット・ブル

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