「処理」なんかできないのに何を急げというのか

 先日、所用があって福島へ行ってきた。原発から30キロほどの場所である。辻に立つ線量計は、東京の10〜20倍の数値を示していたが、携えて行ったカウンターはさらにその数十倍の値を表示した。

 選挙期間とあって、共産党の看板が立ち、その隣に一回り大きい自民党候補の看板が立ち、そのまた隣に三回り大きな「除染中」の立て看が置かれていた。「除染中」の赤い字はところどころかすれていた。

 そこから100mほどの場所で、削られて赤肌を見せる山裾に、黒々とした腫瘍のような汚染土の詰まった袋が積み上げられていた。

 住人は皆一様に親切で、東京から来たと知ると、口々に「福島はいいところですよ」「何を食べても安全ですよ」と言いつのる。通りすがりの買い物帰りのお婆さんですら、そう口にした。

 けんちんうどんや地元野菜の天ぷらを食べ、山陰の民宿に泊まった。手元のカウンターはさらに数値をアップさせていた。

 

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 日経さんは顎を突き出して命令だけする奴隷監督官のように、「急げ」「早くしろ」とだけおっしゃる。

 

国は福島県を汚染土の最終処分地にしないと約束している。だが中間貯蔵施設の運用終了後、汚染土を県外に運び出す見通しがあるわけでもない。 

 

 この状況で何を「急げ」というのか。

 日経さんが急ぎたいのは原発の再稼働だけだろう。

 現地の作業所で聞いたところでは、いくらやってもキリがない、あと何年かかるやらさっぱり先が見えない、ということだったが。

 

 

 

のぼり のぼり旗 けんちんうどん (W600×H1800)