見直しじゃなくて「無くせ」と言えないの?

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 小手先でちょっと制度をいじっただけ、という、あべぴょんお得意の「全力でその場で足踏み」が、またも行われたわけである。

 それについて日経さんがぶつくさ言ってるわけだが、いつもなら「もっと早く移民を!」の主張で終始しているはずが、今回は一味違っている。

 

 技能実習制度は人権侵害の問題をはらむとして世界から批判されている。背景にあるのは国際貢献という建前と、人手の確保という本音とのかい離だ。

 

 これに触れないことには話が始まらないわけで、日経さんもようやっと無視できなくなってきたようだ。

 で、この「本音」の部分について、とりあえずこの場では「移民」という答えは先送りにしている。

 かと言って、はっきりした答えが打ち出せているわけでもなく、日経さん自身も「小手先」の提言でお茶を濁している。「根本から見直しを」と言いつつ、自分の物言いは何が根本なのやらさっぱりである。

 

 特定の職種に人が集まりづらくなるのはいつの時代もある。

 戦前においては、重工業というのがだいたいそうだった。工場は命をすり減らすために働いているような状況があり、当然なかなか人が集まらない。なので高給を提示して釣り上げ、あとは「釣った魚に餌をやらない」という詐欺を行なっていた。(この「詐欺」のおかげで失業率もぐんと下がった)

 経営者側に労働環境を改めるという思考はなく、とにかく儲けないと、の一点張りだった。

 その「伝統」は今も形を変えて続いていて、「技能実習」とやらもこうした問題から別れた枝葉の一つである。

 

 正味の話、問題の背景として、この制度がすでに時代遅れだということもあると思う。「技能実習」の内容など、わざわざ日本に来ずとも自国で学べるからだ。国際貢献という「建前」など、とっくのとうに破綻しているのだ。

 じゃあ、なぜ「無くせ」と言えないのか。

 実習生の「低賃金労働」によって食ってる連中が少なからずいるからだ。

 日経さんはどんな要因だろうと、労賃が引き下がる方向でしか思考しないのが癖になっているので、そこで思考がストップしてしまうのだろう。

 

 とは言え、これは一筋縄ではいかない問題なのは確かだ。

 とりあえず、喫緊の課題として、介護に人が集まらないというのをなんとかしなくてはならない。

 まず、政府は介護の現場に従事する従業員について、所得税を免除するくらいしてはどうだろうか。

 

 あと、蛇足として、

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 珍しく日経さんが現政権に関して及第点の社説を書いている。いつもと書いている人が違うのか?

 とにかく、この程度のことは書いてて「普通」なので、今後も精進してもらいたいものである。