日経さんに不都合な現実

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 トランプが大統領に決まった時、「これからアメリカ経済は大変なことになるかも!」と「懸念」していた日経さんだが、低空飛行を続ける日本を尻目に、アメリカ経済は安定成長を続けている。

 日頃から「グローバリズムこそが経済を成長させる」とのたまっていた日経さんにとって、「アメリカ・ファースト」と喚いて堂々と保護主義をぶち上げるトランプは、なんとも許しがたい存在だった。

 ところがどっこい、トランプが大統領に就任しても米経済は失速することなく、TPPを離脱したまま成長し、逆にTPPにしがみつく日本は低迷している。

 「これはFRBがきちんとやってるからだ。うん、そうに違いない。そうでなけりゃおかしい。そうに決まった」というのが今回の日経さんの社説である。

 要するに、保護主義だろうがグローバリズムだろうが、経済は成長するときは成長するわけで、「経済さえ成長すれば万々歳」という日経さんには、現状でトランプを批判できはしないのだ。

 

 とはいえ、アメリカが今も深刻な格差社会であることは疑いない。格差もまた「安定して成長」しているのだ。

 しかし、格差が広がろうが、国境に壁を作ろうとしようが、経済は成長する。

 モラルハザードで社会が衰退しようが、とにかく経済さえなんとかすればなんとかなる、という価値観では、あの腐ったラードを頭に乗っけたような爺さんに太刀打ちできないのだ。

 その辺は、アベノミクスを持ち上げて広告塔にされてしまった、スティーグリッツやクルーグマンも似たようなものである。

 

 安定して成長する「格差」によってひり出された、悪臭を放つ巨大なシロモノからホワイトハウスを解放するには、とりあえず「経済云々」が役に立たないという「不都合な現実」について、日経さんができることと言えば「目をそらす」ことくらいなのだ。

 

 

不都合な真実 (吹替版)