脳みそを食べられても大丈夫と言いつのる日経さんなのだった
円陣を組んで「ふぁいと〜お〜」とか、空々しい掛け声を高らかにあげてみせる日経さんである。
本当なら警戒すべきところを、日経さんの立場としてはそう言えないので、景気づけに応援することでごまかそうとしているのだろう。
そんなうそ寒い社説のポイントはこの部分である。
論説の途中に突然一行だけ挟まれるので異物感が半端ないんだが、問題はアシックスと一緒に並べてさりげなさを装う東芝さんの方である。
東芝CEOに大物バンカー就任、53年ぶり外部登用に社内は警戒 | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン
ハゲタカが東芝を食い散らかした挙句、ついに脳みそを食べに来た、という構図が思い浮かぶ。
CVCキャピタルをハゲタカと呼ぶかは異論が出て来そうだが、東芝の尻肉をむさぼり食らう買収はその名に値する、と私は考える。
企業性善説によってM&Aマンセーな日経さんは、この先どんな地獄が待っていようと、天国への道であるかのようにアナウンスしなくてはならないので、とりあえず明後日の方向へ気合いを入れてみた、というところである。
脳みそを食われた企業がどうなるかといえば、ゾンビとなって社員を喰い散らかすようになるのだ。
心ある東芝社員は逃げた方がいい。それとも、すでに「死体運搬係は営倉へ」のアナウンスが、子守唄のように聞こえてしまっているのだろうか?
「ひとつ、いつも静かなアナウンスがあったんだ。子どもをあやすみたいだったな。一日に何回もだ。ゾンダーコマンドーへの呼び出しだった」
「というと?」
「Lwichentrager zu Wache」目を閉じたまま、静かに彼。
訳そう……「死体運搬係は営倉へ」。何百万人と殺すための施設だ、ありふれた呼び出しだったと知れる。
「二年くらいだな、うるさいスピーカー越し、音楽の合間にそんな呼び出しを聞いてると、だ。死体運搬係ってのが、突然えらくいい仕事に聞こえてきたんだ」
「分かる気がします」
「君は分かるのか?」頭を振り、彼。「私は分からん。いつも恥じている。ゾンダーコマンドーに志願するだなんて――何とも恥ずべきことだ」
「そうは思いませんが」
「私は思うんだ」彼は言う。「恥ずべきことだよ……もう二度と、この話はしたくない」