地方の人口減は生活保護倍増でしか救えない
経済の野放図な自由化と福祉の削減などの財政「健全化」を進めれば、都市部に人口が集中して地方自治体の人口が減少するのは当たり前である。
それは少子化と原因を同じくするものではあるが、決して少子化を原因とするものではない。
だいたい、なぜ都市へと人口が集中するかといえば、田舎では職がなくて食っていけないからだ。
土地に我が身を縛り付けた農民が、出稼ぎに出ては盆暮れに帰郷していた時代はとうに過ぎ去り、土地などはなまじ持っていても負担になって、「負動産」などと呼ばれるご時世である。
こうした流れを防ぐにはどうすればいいか。
とりあえず、職が無くても土地があれば食えるようにしてやることだ。
手っ取り早くいうなら、地方での生活保護を綿密な形で倍増してやればいい。
生活保護は都市から田舎への再分配であり、種まきでもある。まいたタネが成長したなら、都市がそれを収穫してさらに成長できる。
都市と田舎がそのように「成長」を往還させることで、国家そのものもまた成長できるのだ。
都市ばかりに集中すれば、その過程において都市は成長できるが、やがて死に絶えた田舎から収穫するものがなくなる。それは己の息の根をとめるのと同じだ。
日経さんは収奪型の経済がお好きなようだが、もはや日本の社会は焼畑農業が続けられるほど豊かではない、と知るべきだろう。