社会学は何の役に立つか

社会学 Soziologie とは 抵抗する学問 Opposition Wissenschaft である。

 

社会学はあまり「役に立つ」ことはない。

簡単にダイエットできたり相手を飽きさせない説得術を身につけたり、らくらく出世できたりすいすい金儲けできたりしない。

社会学は、経済の役に立たない。

社会学は、権力の役に立たない。

社会学は、幸福の役に立たない。

社会学は、利益の役に立たない。

社会学は、快楽の役に立たない。

 

社会学は人間を悲しませるのに役立つ。

誰も悲しませず、誰も不愉快にしない社会学は、社会学ではない。

魔法の鏡のように、社会学は人間に真実を告げる。

「お前は、全く美しくない」

 

社会学は、表層に浮かぶ対立するものの共犯性を暴く。

国家と道徳の共犯性を暴く。

怨恨と良心の共犯性を暴く。

科学と迷信の共犯性を暴く。

 

科学が暴走し、人間の存在を脅かす時、人は社会学に頼らざるを得ない。

科学は科学自身の本質を科学的に語れないからだ。

 

「社会は必ず腐敗する」

この絶望が社会学の第一テーゼである。

社会学は、人間に絶望することに役立つ。