いつものアレ

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 毎度毎度の隠居の繰り言、「おじいちゃん、その話するの三十回目」というやつである。

 

2019年度の予算編成にあたり、歳出への規律強化を求めたのは例年通りだが、平成最後の建議になったのを踏まえ、総論でこの間の財政運営を振り返ったのが特筆に値する。 

 

 「特筆」だそうだ。日経さんも相当に耄碌している。

 

その要諦は「健全化どころか、一段と財政を悪化させてしまった平成時代の過ちを二度と繰り返してはならない」と、政策の失敗を率直に認めた点である。 

 

 なんか日本語がおかしい。政策の失敗を「率直に」認める主体は政権にあるはずだが。

 それともアベノミクスとかいうのは、この審議会が主体になって始めたのだろうか。

 だいたい「リフレ」をやれば財政が健全化などしないことは、是清の前例を見てもわかるだろうに。

 

増税などの国民負担を先送りしながら歳出抑制に消極的な与党、それを許した財務省をはじめとする官僚組織、さらにはそのような政治家を支持した有権者に猛省を促すものと評価できる。 

 

 消費税などの間接税は、財政健全化に向かない。

 増税するなら直接税であり、法人税を増やした方が良い。

 金融緩和で「大の方」の企業は空前の高収益だったそうではないか。実質賃金が下がりっぱなしの下々から収奪するより、儲かってる方から取るのが当たり前だろう。

 

税財源で賄うべき社会保障費を赤字国債の発行を通じて将来世代につけ回しし、負担と受益の関係が断ち切られたと指摘している。

 

 その関係を結び直すなら、より一層手厚い福祉が求められる。

 日本を高負担・高福祉国家に再編するつもりがないのなら、「将来世代につけ回し」などというのは、マルチ商法の物言いとさして変わらない。

 

歳入面では、景気対策として所得税法人税の制度減税を重ねたことをあげた。90年代の深刻な金融危機やデフレ不況の長期化を考えれば、制度減税の意義を一概に否定はできない。

 

 「財政健全化」を謳うならば、全力で否定すべきだ。

 

「財政健全化に奇策はない」 

 

 その「奇策」があるかのように喧伝したのが、アベノミクスではなかったか。

 日銀の「禁じ手」で急激なインフレが起これば、全て解決するはずだと妄想したのだ。

 

財制審の役割として「現世代とともに将来の納税者の代理人でありたい」との決意を示した。

 

 「代理人」? 誰がそれを認めたんだ。自称か? 勝手に決意してんじゃねえよ。

 

選挙で一票を投じられない子供や将来世代の利害を考えた政策運営の大切さは言うまでもない。 

 

 将来世代ってのは、「上つ方」のお子様方のことだろう。

 世襲財産を守りたいだけなら、その口を縫っておいてもらいたいものだ。

 

各論では、(1)公的健康保険が利く範囲の見直し(2)高齢者医療や介護保険の利用者負担の改革――などを求めている。地方財政についても、自治体に社会保障費の抑制に努めるよう促した。 

 

 結局は「福祉を削れ」「下々の奴らに痛みを」である。

 少子高齢化社会においてなすべきは、「上つ方」の財産を増税によって剥ぎ取り、福祉政策によって再分配することだ。

 

与野党の政治家はぜひ建議に目を通し、来し方を真摯に振り返りつつ、ポスト平成の財政運営に対する責任を自覚してほしい。

 

 日経さんは、責任がなくていいね。

 

 

耄碌寸前 (大人の本棚)

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