『JICを富めるな!』

 なんか例の映画になぞらえようとして、ちょっとわかりづらいタイトルになってしまった。

 『カメラを止めるな!』でゾンビ映画というものに初めて触れたが、まあまあ面白かった。この映画、制作費が300万とかいうことでも話題だったが、映画マニアの知人によれば「ゾンビ映画は低予算で当たり前。アメリカならもっと安いのもある」とのことだった。

 さて、アメリカではなく日本で、映画ではなく現実にゾンビを生み出そうとしていた動きが、暗礁に乗り上げつつある。

 

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 日経さんがお好きな「民」間の側は、「こんなやっっすいギャラでやってられっか」というわけで、経産側がゾンビ制作モノなんだから安くあげようとしたら、ドタキャンを食らったような格好だ。

 日経さんは、このJICについて、以前にも社説を書いている。

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 やるんならやるで、ゾンビを作らせないようによく考えてね、と忠言している。

 しかし経産相はゾンビの盆踊り会場を作る気満々だったようで、そんなら大したスキルはいらないから低価格でお願い、とコストカッターをやってきた。

 すると、人の給料を削るのは平気なくせに、自分の取り分はびた一文負からない人たちがブーブー言い出した。

 で、日経さんはと言えば、官民ファンドには疑問符をいくつもつけるくせに、その崩壊のきっかけとなった「人の給料を削るのは平気なくせに、自分の取り分はびた一文負からない人たち」については、慎重に言葉を選んで擁護している。

 

問題になった報酬は、客観的に見て投資の世界では飛び抜けて高額とはいえない。それでも「財政資金を元手にした官民ファンドには高すぎて不適切」というなら、人材確保は難しくなる。投資を通じて次世代産業を育成し日本の競争力を高める、という使命の達成はおぼつかないだろう。 

 

 経産省の言い草は、「レンタカーでレクサス借りるけど、高速走るわけじゃないからヴィッツと同じ値段でいいよね」みたいなもので、どっちが悪いというのは言いづらいが、簡潔に言えば「どっちも悪い」

 

 とりあえず、勝手にずっこけてくれたおかげでゾンビ製造の陰謀は頓挫した、というマヌケなオチになりそうだ。

 だが、めでたしめでたし、という気分になれないのは、すっかり死に体なのに堂々と動いている、ゾンビだかグールだかわからん政権とともに年を越すことになりそうだからだろう。