揺らいだままの日本経済新聞への信頼

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 日本経済新聞は、途中数度の中断を挟んで、足掛け30年購読していた。(親父も取っていたので、付き合いだけならもっと長い)

 「購読していた」と過去形になってしまうのは、ある時期に不信がつのってとるのをやめてしまったからだ。

 ある時期、というのは、日経さんが「戦後最長の景気拡大」と喧伝していた「いざなみ景気」の頃である。

 とにかく当時、日経さんは「景気がいい景気がいい」と騒いでいたが、あまりに実感とかけ離れていた。

 日経さんへの信頼は、その時から揺らいだままである。

 

 で、今度は厚労省の重要な統計がおかしかったという。

 ごまかしはかなり以前の、完全には重ならないが「いざなみ景気」の辺りから始まっている。

 日経さんへの不信感も、いくばくかはこの統計の不備がタネとなって醸成されたのかもしれない。

 

厚労省は昨年も、裁量労働制で働く人の労働時間調査の不備が表面化した。たがの緩みは深刻だ。自浄作用が働かなければ、重要統計の調査を総務省統計局に移管することも検討してはどうか。 

 

 ことが厚労省に関してであり、しかもあべぴょん政権よりずっと以前から、民主党政権をまたいでのことなので、日経さんも大安心で大雑把な提案をすることができる。

 しかし、そうした統計について、なんら疑いを持たなかった「経済」新聞というのはいかがなものか。

 「経済新聞」を名乗るからには、現実と乖離した数値に疑いを抱くことがあっていいし、そうしたことがカケラもできなかった自身への反省があって然るべきではないか。

 私がもう一度日本経済新聞を購読する日は、当分やってこないようだ。

 

統計学が最強の学問である

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世に国難の種はつきまじ

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 北の将軍様がミサイルをプレゼントしてくれなくなったので、代わりに韓国相手に「国難」を起こすというお粗末。

 移民やら水道民営化やらで離れがちだった信者たちも、これで信仰心を「消極的に」トリモロスことだろう。

 

経済界の対応は現時点で冷静だ。 

 

 そりゃそうだ。米中間ではもっとロクでもないことが起きているからな。

 保護主義というタチの悪いイデオロギーでなく、裁判による判決であれば、まだ立ち回りのしようもあるというものだ。

 

「日本は判決に不満があったとしても『仕方がない』との認識を持つべきだ」 

 

 そりゃそうだ。それが法治国家というものだし。

 韓国は前大統領が逮捕されるほど法治がなされているが、日本は身内に税金をばらまくために文書改竄しても誰一人逮捕されない、というていたらくなのだから。

 

優先すべきは韓国政府が一刻も早く対応策を示すことだ。 

 

 そりゃそうだ。日本側に対応させたりしたら、余計にゴタゴタを煽って支持率アップに利用する、ということしかしないのはわかっている。

 ここは現在東アジアで一番マシな首脳である、文大統領に頑張ってもらうしかないだろう。

 

韓国軍艦による自衛隊機へのレーダー照射問題でも韓国は態度を硬化させている。 

 

 で、この件だが、軍隊なんてのは、「猛犬注意」の札を出した家で飼ってる、しつけの悪い吠えグセのあるバカ犬同然なのだから、レーダーの照射くらいはするだろう。ワンワン吠えるのが犬の役目だからだ。田母神が一旦は「大したことではない」とツイートしたのは、犬としての自覚があったからだ。

 吠えられるの嫌なら、お互い犬なんか飼わなきゃいいだけのことだ。

 

 で、書こうかどうしようか迷ったが、でも書いちまうわけだが、新年会でまた例によって自衛隊の中の人から聞いたのだが、平成の初め頃にはレーダーどころじゃない事件もあったそうだ。

 アメリカの軍艦が自衛隊の艦に向けて実弾を放ったのだ。脅しとかでなく、航路予測しながら数発撃ってきたので、ちゃんと当てるつもりだったとわかったそうだ。たまたま運良く外れたが、この後自衛隊がどう対応したかというと、米軍に詫びを入れたのだという。「うっかり近づいて申し訳ありませんでした」と。しかもこれ、日本領海内でのことである。

 最近でも南沙が緊張した時、自衛隊内の医者(非戦闘員)まで銃を持つように米軍から「指令」があり、仕方なく従ったとか。

 もちろん、マスコミに漏れないように緘口令を敷いているとのことなので、ソースがあるわけではない。

 

 新年そうそうお行儀の悪いエントリーで申し訳ないが、厚労省よりはマシだとご寛恕願いたい。

 

 

和雑貨 招布 猛犬注意 531

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お年玉が少ないと騒ぐ日経さん

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 「生産性」という単語もすっかりうさん臭くなった。脈とかいう自民党議員のおかげである。

 そのせいでこの日経さんの社説も、タイトルからしてうさん臭さ芬々である。

 

 「高度プロフェッショナル」とかいう二重形容のような呼び名に対し、日経さんは「脱時間給」というぶっちゃけた呼称を提示してきた。時給という考え方をやめろ、というのは日経さん年来の主張である。どうしても「脱残業代」とか「定額働かせ放題」とは呼びたくないらしい。

 やっと残業代を払わなくて済むかと思ったら、思ったより適用幅が狭まっていて、お年玉が少なっかたと泣くお子様のように「上つ方」はおかんむりなのである。

 とはいえ、こうやって日経さんが怒りを代弁しているのだから、早晩その要求は通されることになるだろう。極めてこっそりと。今回だって「上つ方」の要求通りであれば、少なくとも日経さんは稲荷のキツネのようにじっと黙って微笑んでいたことだろう。

 

厚労省が制度の対象者を絞り込んだのは、長時間労働を助長するといった反発が労働組合などに根強いことを踏まえたためだ。 

 

 労組の反発なんか屁でもない、というのが昨今の風潮である。

 参院選が近づいている、ということの方が大きいだろう。選挙が終わって政権が盤石であれば、さっさと日経さんと「上つ方」の要求通りにするはずだ。

 

だが労働者保護の点では、年104日以上の休日取得の義務づけや、いったん制度の適用に同意した人も撤回できるなど一定の措置がある。制度の対象者を絞り、働く人の選択肢を狭めるのは、労働者保護に反しないか。 

 

 すごいねえ。あんだけツッコミが入っても、「この制度は労働者を保護するものだ」と言い張るらしい。

 同じことを繰り返すのもしんどいので、過去のエントリーを貼っておこう。

 

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 まったく、お目出度くない年が明けたもんだ。

 

 

 

バカの考えることなんかわかるわけがない

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 この「国民」を見下すタイトル、さすが日経さんである。

 しかも一行目がこれ。

 

安倍晋三首相の外交・安全保障政策はおおむね順調といってよい。 

 

 それはひょっとしてギャグで言っているのか

 年末のクソ忙しい時に、ボケた社説書いてんじゃねえよ。日経平均の上げ下げとか見てるうちにIQ半減したのか?

 一足お先に正月ボケが始まった日経さんなのだった。

 だらだら書いてる暇はないのでこれでおしまい。

 

 

日経さんのいじけた予言

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 民主主義は多数決がすべてではなく、少数意見を汲みあげることが本来の目的である。それこそが「一般意志」(ルソー)にそぐうものとなるからだ。

 ならば、多数派の異なる「ねじれ国会」は民主主義本来のあり方と言える。

 日経さんとその「上つ方」は、企業経営のように国家を運営したいのだろうが、本来企業と国家は別物だと知るべきだろう。

 現在国会はねじれておらず、自民党はやりたい放題で「上つ方」の指示通りに「移民」も「水道民営化」も難なくやり遂げた。

 それでも日経さんが「ねじれ国会」の思い出をもとにぶつくさ言い垂れるのは何故なのか。

 

 今回の社説はおそらく、一つの予言なのだろう。

 次回の参議院選挙で自民が大敗する、という予言である。

 悪い予感がするときは、先にそれを口に出して予言することで、望まない結果の到来をそらそうとする、というのは昔の女子高生などがよくしたことである。その先にはだいたい、「そんなことないよ〜」「大丈夫だよ〜」と予言を否定してくれる優しさへの期待がある。

 日経さんの場合「今度の参院選で自民が敗けたら大変なことになっちゃうかも〜」というのである。

 いい歳こいたおっさんのすることではないし、端的にキモい。

 あべぴょんなどという幼稚な政権を「信じて」いるとこうなってしまうのか。

 

与野党が国会改革など難しい課題から逃げ続けていては、近い将来に再び国政の停滞を招く事態を生じさせかねない。 

 

 ここはあえて「そんなことないよ〜」と逆に言っておこう。

 議論を尽くすことは必ずしも国政の停滞とはならないし、大して議論もせずはぐらかしと仲間褒めで時間を潰した挙句、数の力で押し切るような腐敗した状況に比べれば千倍もマシだ。

 

そんなこと言わないで(DVD付)

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もはや国難などどうでもいい日経さん

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 「国難」といえば、ちょっと前までミサイルだったはずだが、そっちの方はもういいようだ。

 国難とやらを盾にされて、選挙でうかうか自民に入れた人々はいい面の皮である。国民の方で勝手に勘違いしたんだ、と政権は詐欺師の常套句を吐くのだろうが。

 

 で、少子化ということだが、要するに日経さんは少子化対策なんぞやって欲しくないのだ。

 せっかく「移民」がやってくることになったのだから、日経さんとその「上つ方」にとっては、もう少子化なぞは解決済みの問題なのだ。

 なので、政府の予算も少子化対策を建前とした別なことに回してもらいたい、とお考えである。

 

政府が企業に補助金を出し、休業中の従業員の給料を減らさないようにすれば、父親も休みを取りやすくなる。 

 

 結局、企業に金を回せ、と。

 企業で働いていない連中のことなど、日経さんは水たまりにわいたボウフラ程度にしか見ていないのだ。

 

このような知恵と工夫が、育児の苦労を母親だけに負わせたり、長期休業が社内のキャリアアップの妨げになったりするのを改めるきっかけを生む。 

 

 程度の低い「思いつき」を「知恵と工夫」と言い立て、はやる筆先を高齢者の側へと向ける。

 

働く世代の保険料で成り立っている企業の健康保険組合などから高齢者の医療財源を召し上げるやり方は、限界に来ている。消費税収など安定財源を充てるのが王道だ。安倍政権のあいだに税率10%の先の道筋をつけてほしい。 

 

 へー、消費税収を福祉に充てたら、日経さんの金科玉条「財政健全化」が遠のくと愚考いたしますが、その辺はよろしいんですかねえ。つい先日書いたことをお忘れになっているのか。

 

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消費税率をあげて安定的な税収を確保し時限的な増税対策をやめれば、財政健全化には役立つ。安倍政権は今後の国会審議などで消費増税のねらいをしっかりと国民に説明すべきだ。 

 

 ちょっと認知症を心配したくなる。認知症患者の常として、世話になってる人にやたら意地悪を言うということががあるのだが、日経さんも下のように言いつのる。

 

高齢者医療の窓口負担は70~74歳が20%、75歳以上は10%が原則だが、今後75歳になる人から20%に据え置く法改正を求めたい。年金については名目支給額を前年より減らさないルールを撤廃すべきときだ。団塊世代に「逃げ得」を許さない姿勢が大切である。

 

 「逃げ得」と来たもんだ。

 それは一部富裕層に対して、レッテルを貼るべきじゃないのかね。

 

真の全世代型社会保障の実現には痛みを伴う。それを丁寧に説明するのが政治の使命である。 

 

 とにかく「上つ方」には「痛み」が及ばないように、認知症患者のうわ言のような「説明」をしてくださる日経さんなのだった。

 

ぼうふら漂遊記 (新潮文庫)

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七年目も売れない芸人のネタのような日経さん

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 なんか昨日の続きのようだが、3連休の穴埋め社説だけあって、年末特別番組にしか出られない売れない芸人のネタを控え室で盗聴したかのような無内容さである。

 

政権再始動と同時に始まった景気回復局面は戦後最長の73カ月に並び、日経平均株価はこの間にほぼ2倍に上昇した。

ただ、13~17年の実質成長率は平均1.2%にすぎず、景気回復の恩恵も広く行き渡っているとは言い難い。日本生産性本部の17年時点の比較によると、日本の1時間当たりの労働生産性は、経済協力開発機構OECD)加盟36カ国のうちの20位にとどまる。

 

 この「ボケツッコミ」を見よ。なんという寒さ。今年は暖冬みたいだから調整しようとしているのか、などとこちらのツッコミまで寒くなる。

 

自律的な成長の基盤を固め、金融緩和と財政出動への依存から脱却するには、成長戦略のてこ入れが不可欠だ。安倍政権が実行した法人税減税や働き方改革企業統治改革などは評価できるが、積み残しの課題は多い。 

 

 「てこ入れ」に対して「課題は多い」と繋げるとか、もういっぺん初歩からやり直せ。仮にも新聞社だろうに。

 

とりわけ重要なのは、産業の新陳代謝を高める施策だ。上場企業が事業の再構築などで稼ぐ力を高めた結果、18年3月期の純利益は2年連続で最高となり、自己資本利益率は初めて10%台に乗せた。

だが、「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)と呼ばれるスタートアップ企業は小粒で、数も少ない。企業の開廃業も総じて停滞しているといわれる。

 

 別な話にすり替えるな。「ユニコーン」がどうかしたか。「新陳代謝」云々とぬかすなら、ここはこないだのJICの騒動について書くべきだろう。

 

事業の障害になる法規制を一時的に停止する「サンドボックス」の活用も有効である。 

 

 「サンドボックス」というのはIT用語ではなかったか。こういうのをビジネスに流用することについて、普段科学用語の乱用に目を光らせる人たちはなぜか鷹揚である。

 これはあれか、こないだのペーペー騒動のようなのを、もっとどんどんやれるようにしましょう、ということか。それとも、ゴーンをさっさと保釈しろということか。(いやまさか)

 

安倍政権が未来投資会議で検討しているデジタル政府やオンライン医療、フィンテックの推進などを早急に具体化してほしい。 

 

 パソコン触ったこともないおっさんにサイバーセキュリティやらせてる政権に何を期待してるんだ。

 

日本の成長に資する自由貿易圏の拡大も忘れてはならない。米国を除く11カ国の環太平洋経済連携協定(TPP11)は30日、日本と欧州連合EU)との経済連携協定EPA)は19年2月に発効する。これに続く東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉妥結を急ぐべきである。 

 

 で、対米についてはナシか。

 オチにきて盛大にスベるってのは、日経さんの様式美なのか。

 

 ちょっとここで話を変えて、「七年」という時間について考えてみよう。

 これは小学生だった子供が高校を卒業するくらいの年数である。

 あべぴょん政権がどんなにだらけたことをしても世間に甘やかされるのを見ながら、若者たちは青春を送ってきた。彼らがどのような価値観を持って「世間」に登場するのか、非常に興味深いところである。

 もしすっかり「安倍化」した若者に出会っても、世の大人たちは現政権を支持してしまった自分たちの責任だとして、しっかりと受け入れてもらいたいものだ。

 

 

 

 

 なお、前回と今回のエントリーで「七年」が漢数字になってるのは、『七年目の浮気』のタイトルに合わせたつまらないこだわりのためである。