過剰なへつらいは逆効果という「寓話」
何を今更というか、トランプがそうすることはわかっていたことだ。むしろ米朝対話の方が驚きである。
それに付随して出された、一つの「公式」の談話が波紋を呼んでいる。
「『アメリカに長い間つけこんできた』とほくそ笑んでる」トランプ大統領が安倍首相を名指しで批判 | BUZZAP!(バザップ!)
過剰なまでのへつらいは、時に逆効果だという、一つの「寓話」ででもあるようだ。
対照的に、対中制裁について中国からは、教養に裏打ちされた返答がなされた。
こと外交に関しては、日本と中国では子供と大人が将棋をしているようなものだった。あべぴょんが政権を握ってからは、「子供」が「幼児」になり、さらに差が広がってしまった。
その辺の認識の差については、日経さんもご同様である。
そもそもトランプ大統領の貿易政策には根本的な誤りがある。
一つは対米黒字が大きい国は市場が閉鎖的だと断じて、黒字減らしを求めていることだ。2国間収支と市場開放度は基本的に関係ないにもかかわらずだ。
2つ目は環太平洋経済連携協定(TPP)から撤退したことだ。TPPは知的財産権保護や国有企業への優遇措置禁止を盛り込んだ質の高い自由貿易協定である。これを世界的なルールに広げていくことで中国が不公正な慣行を変えざるをえなくする狙いがあった。
「一つ」と「2つ」と数字の表記が乱れているのは、よっぽど動揺したからか。
動揺ついでに、この2つも整合性が取れていない。
まず、日本はアメリカとのFTAを迫られており、それに対しては「いやいや」をしている状況だ。日本はどうしてもアメリカをTPPに参加させようとしていて、トランプはそれに対して「アメリカの条件を良くするなら考えなくもない」と応えている。
TPPが日経さんの言う通りの「ちゅーごくほーいもー」であるなら、トランプの対中制裁などを云々するのは無意味である。
「対中国」に重きを置くなら、むしろ日本はアメリカのFTAに応じた方が効果的だからだ。「対中国を言うんならとっととFTAやったれや」くらいに、トランプは苛立っているだろう。
TPPを「ちゅーごくほーいもー」として語ることは、TPPの「不自由さ」の現れてであり、その意識高い系の理念が虚妄であると白状するようなものである。
直感だけで動くトランプは、TPPを“a little smile"のようにうさん臭く思っているのだろう。
“ I’ll talk to Prime Minister [Shinzo] Abe of Japan and others, great guy, friend of mine, and there will be a little smile on their face and the smile is: ‘I can’t believe we’ve been able to take advantage of the United States for so long.’ So those days are over.”
さてさて、四月の訪米はどうなることやら。
その前に、明日オバマが来るんだっけ?