農業を競争でするとどうなるか

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 農業の「競争力」という言葉を目にするたび、「いったい誰と競争するんだ?」と思わされる。

 農家同士が競争するのだ、と都会に住む人間(まあ、私も都会に住んでいるが)は考えるのだろうが、実際の農業は助け合いが中心であり、経済の本に出てくるような「競争」はほとんど行われない。(無意味な派閥争いのようなものはあるが)

 

 日経さんが口にする「競争」とは、「価格競争」のことだ。

 品質ではない。

 安い輸入品が入ってきてもそれに耐えられる力を、などと言われても、ただ値段だけで対抗するなら、大規模化してそこで働く人間を低賃金でこき使うしかない。

 海外の価格競争力のある農産物は、ほぼそのようにして作られているからだ。

 

 日経さんは、日本の農業がプランテーション化してゆくことをお望みなのだろう。

 そしてそれを、「競争力」という言葉にすり替えている。

 果たしてそれが、日本の農業を守ることになるのかどうか。