一番単純な答えが一番難しくなってしまっているという現状
トランプ様に日本のお味方になってもらうにはどうすればいいか、といういじましい願望をえらそうに書いた社説である。
先日のフィリピンとの件についても少し触れられている。
安倍首相はさらに、フィリピンに向こう5年間で1兆円規模の経済支援を約束した。反米的な発言を繰り返し中国に傾斜するドゥテルテ大統領の動きに、歯止めをかける効果を狙ったものだ。
これ、いじめっ子が「しめしめ、いい金づるを見つけたぜ」とほくそ笑んでいる図が浮かぶのだが。
こうしたことが「金ぐつわ」にならない、ということを、ウチのおぼっちゃまはいつになったら学ぶのだろうか。
以前ドゥテルテについては、このようなエントリーを書いた。
こういう輩が出てきた時に気をつけなくてはならないのは、うっかり相手にヒキダシ(軍備)を渡さないということだ。
幸運なことに、フィリピンの軍事力はまだそれほどでもない。しかし、ドゥテルテが軍備増強に走り出したら、何がどうなるか予測がつかないだろう。
どうせ中国と衝突するだけだ、などと楽観視できないのは、今度のごたごた十分にわかったはずだ。その時々の情勢次第で、どっちにでもぶっ放すのが、こういうドゥテルテのような人間なのである。
であるにもかかわらず、あべぴょんぼっちゃまはドゥテルテに軍事協力を持ちかけたという。
そして、やんわり拒絶された。
ドゥテルテ氏は、「安倍氏には軍事同盟は必要ではないと言った。私は外国の軍人がいない国を目指したい」とも述べた。
ヤクザに協力を持ちかけたら、
「ぼっちゃん、そらあ人の道に外れとりゃあせんかのお」
と逆に言われてしまったような構図である。
交渉のキワで正道を説いて相手をへこます、というのはヤクザのよく使う手だ。
1兆円という桁外れの援助は、こうしてゆすり上げられたのだと推測できる。
こんな調子では日経さんならずとも心配になってくるのは仕方のないことだが、あくまでアジア太平洋の安定を願うならまったく単純な解答が一つある。それは、
「日中友好」
である。
これさえできれば、日経さんが頭を悩ましているような事態はほぼ解決するだろう。
しかしそれには、現政権とその支持率を高止まりさせている層が、非常に邪魔なわけである。
中国の現政権について支持する立場にはないし、大きな不信感を抱いてもいるが、それでも地域の安定によって利益を享受せんとするなら、にっこり笑って握手するのもアリなはずだ。それこそが、「保守」の皆さんがちょくちょく口にする、一般庶民には理解できない「高度な外交戦術」というやつだろう。
この一番単純な解答が、一番困難になっているという現状について、あべぴょんを「信じている」日経さんにももちろん責任がある。自覚してないかもしれないが。
しかしまあ、日経さんのトランプ・パニック・ディスオーダーは依然として継続中のようだ。
外交をビジネスの延長でとらえるトランプ次期大統領には、そうした重要性を説くだけでは不十分だろう。米軍の活動を下支えするため日本や他の同盟国はどのような貢献をするのか。明確な青写真を示したうえで、米国の関与を働きかけなければならない。
むろん、軍事だけでなく、経済面のアジア太平洋と米国の結びつきも重要である。この点、自由貿易に逆行するトランプ氏の政策は極めて深刻な問題だ。
安倍首相はオーストラリアとベトナムの首脳との会談で、環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効に向けて協力していくことで一致した。他の署名国とも手を携えて、トランプ氏にTPPへの支持を働きかけたい。
後半部は、まともな脳みそで書いたと思えないような文章である。
自分の思うようにならない現実に突き当たり、「信仰」を試されている信者というものは、このように取り乱すものなのだろう。