「北朝鮮ありがとう解散」
寝言の羅列のような「表明」を、日経さんが批判するふりをしている。
日経さん、寝言に返事すると、寝てる人の寿命が縮むよ?
要するに国難=北朝鮮な訳で、北朝鮮が頑張ってくれたおかげで解散して色々とごまかせる、というわけだ。
本来の呼び名は「北朝鮮ありがとう解散」とすべきだろう。
表明とかいうのがなんで寝言かというと、憲法のケの字もなかったからだ。
とにかく、これをテコに憲法をいじりたい、というのが目的なので、それ以外の経済がどうしたとか財政がどうしたとかの話題は、全くどうでもいいというのが本音である。
憲法さえ改正できれば、後は野となれ山となれ、洪水が来ても知ったこっちゃない、というのが寝言つぶやく当人が見ている「夢」なのだ。もちろん、「夢」は「本当の欲望」の別名でもある。
あべぴょんが「憲法」に触れなかったと同じく、日経さんも「加計」に触れることなく社説を書いた。
寝言に対して寝言で返す、落語のような社説となっているわけだが、こういう場合は双方とも寿命が縮む、という具合に安らかな結末にならないものだろうか。
ちゃんと見張ってない奴が悪い?
東芝のおかげで良い迷惑だ、と思ってる人も多いだろう。
日経さんはどう?
ひとつは監査報告書の内容を充実させることだ。現在は監査法人が報告書に「適正」や「不適正」といった結論だけを記載する。企業買収から生じる「のれん」の減損や、訴訟で抱えうる賠償の負担といったリスクに関する言及はなく、投資家は監査の実態がつかみにくかった。
日経さん、FT買収の「のれん代」はいかがでしたでしょうか。日経さんのことですから抜かりはないでしょうが、内心舌打ちなどしておりませんか?
もうひとつは監査法人を一定期間で強制的に交代させる制度だ。過去の会計不祥事の反省として、ひとつの監査法人が同一企業を長く担当するとなれあいが生じかねない、との指摘がある。一定期間で監査法人を交代させれば緊張関係が保たれ、粉飾の抑止につながるとの考えも聞かれる。
なるほど。しかし、企業会計は古い企業ほど独特の「文化」が形成されてしまっていて、慣れた頃に交代ではかえって効率が悪くなりはしないか。
監査というのは本来厳しいもので、担当は企業側と世間話すらしなかったりする。金融系は自前で監査もやってるが、その部署はゲシュタポ並みに恐れられている。
東芝の場合、経理に相当なツワモノをそろえていた、ということもあっただろうが、おそらくは原発がらみだと隠蔽が当然とされることが多い、ということだったのだろう。
一連の再稼働の流れを見てもわかるが、原発「村」の力は相当なものである。
とりあえず、監査が悪い、東芝が悪い、でも原発悪くなーい、ということにしたいのだ。
で、共謀罪は?
新自由主義万歳の日経さんとしては、それいけやれいけどんどこどん、と行きたいところだろう。
課題どころか、肝心どころだよね。
もう一つの課題が、規制の縦割りの壁である。似たような決済・送金サービスでも、根拠法が銀行法、電子マネーを定めた資金決済法、クレジットカードを対象とする割賦販売法などと入り乱れ、利用する個人や企業にとってわかりにくいのが実情だ。
おや?マネロン防止と言えば、共謀罪があったはずだが。共謀罪対象犯罪277のうち資金源犯罪、すなわちマネロンは101に上る。全部が関わってくるわけではないが、重要な部分であることは確かだ。
マネロンするような連中は、本人確認をどんなに厳しくしてもイタチがもぐらたたきごっこしてるようなもんで、必ず抜け道を見つけだす。
例えばカジノの方のIRとフィンテックを組み合わせれば、素人の私ですらいくつか手段を思いつく(ネットで書いたりはしない)くらいだが、どうするんだろうかね。
捜査は警察の裁量だから、警察がきちんと判断してくれるはずなので、考える必要はないといことか。性悪説を元に作られた法律が性善説で運用されるとか、そりゃ一体どこのユートピアなんだ?
現政権が目玉として通してくる法律は、日本経済をたわめるものばかりのように思えるが、日経さんは肝心な点について「信じてる」ばかりで何も言わない。言わないばかりか、別なことを述べ立てることでごまかしているのだ。
どっちも問題は同じだということ
この二つは、どちらも同じ問題と通底している。
如何に日本の原発のダメさ加減を「隠蔽」するか、という問題である。
そして、日経さんはその隠蔽作業において、大きな役割を果たしてきた。
東芝のダメさ加減については、昨今ようやっと周知されることとなったが、その原因が「原発」にあることは、あまり触れられることがないようだ。たとえ触れられても、アメリカのダメ原発会社をつかまされた、ということばかりで、東芝がどうしてそんな事態に陥ったのかという「そもそも」の部分には口が閉ざされている。
「そもそも」東芝の原発事業が、順風満帆の全く反対だったことが要因なのだ。
柏崎刈羽は、東北の震災以前の中越の大地震によって、かなりの損傷を受けていたが、それをずっと隠蔽していた。事故当時、自民党政権はマスコミを「アンダーコントロール」することに腐心していた。原発から白煙が上がってもそれを知らさないようにしていたし、IAEAの査察すら当初は拒絶していたくらいだ。これらは海外のマスコミが報道することによって、明らかとなっていった。
「そもそも」フクシマ(あえてカタカナで書くことにする)以前に、中越地震による事故によって原発の脆弱性が明らかになっていたにもかかわらず、それを隠蔽するために、「安全安全」と叫ぶだけで実際の対策を怠ったのだ。
「隠す」ということは日本人の「クセ」である、と江戸時代に富永仲基が指摘している。
さらにそこから発生する問題は、隠すことによってそれが何かとても「いいもの」であるかのように考えられ、しまいには隠した本人までそれを崇め奉り始めてしまう、ということだろう。
日経さんが、「経済」新聞であるにもかかわらず、経済的にさっぱりな原発を崇め奉るのは、自らその「隠蔽」において中心的な役割を果たしてきたからではないのか。
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- 作者: 陳弱水,隋唐五代的婦女与本家/初唐政治中的女性意識など論文5篇を収録。附:台湾学界の唐宋女性史研究の傾向と課題。索引(テーマ、人名)。
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自動車絶望工場のさらなる絶望
昔々、某大学の先生が、鎌田慧の『自動車絶望工場』を自著に取り上げるべく英訳していた時のこと。日本の自動車メーカーから一通の手紙が届いた。
手紙は非常に丁寧かつ慇懃な英語で書かれていて、その内容は「先生のような立派なお方が、『自動車絶望工場』などという出自の怪しい本など取り上げずとも」云々というものだった。
先生はびっくりした。だって、『自動車絶望工場』を訳しているなんて、周囲の少数しか知らないはずのことだからだ。
びっくりしたついでに、自著の前書きに「この本を執筆中に日本の自動車メーカーからこのような手紙が寄せられた」と、丸ごと掲載してしまったそうな。
その先生とは、多分ロナルド・ドーアなんだろうが、とにかく日本の自動車メーカーが現在のような威容を得るまでには、ずいぶんいろいろやらかしてきたのだろう、ということが窺えるエピソードである。
かつて「世界最優秀の産業スパイ」「情報収集能力はCIA以上」と言われた日本企業も、昔日の面影なくガラパゴスとなるばかりである。
ただ、いたずらに慌てる必要はない。携帯端末の世界では、スマートフォンがいわゆる「ガラケー」に取って代わるのに10年もかからなかったが、車の動きはもっとゆっくりだろう。
米金融大手のゴールドマン・サックスは2040年時点でも世界の新車販売におけるEVの比率は32%にとどまり、エンジン車の45%を下回ると予測する。
こういう自分に都合のよい情報だけにすがりつき、歩を進めることをいかに怠るかに心を砕く、というのが現状である。
日本でも「脱エンジン」の加速で、一部の自動車部品メーカーなどが痛みを被る恐れはある。
その予測も大甘である。トヨタが潰れかねない、くらいのことは考えておいたほうがいい。
日本のメーカーは、変革に弱い。
特に、これまで積み重ねてきた実績を投げ捨てることについては、ゴミ屋敷を守らんとする老人のごとしだ。
もはや若者すらも、何やら物分かり良くなり、変革に対して冷笑的態度をとっている。
希望は、100m走で10秒切った、ということくらいだろうか?
もはや北方領土は歯牙にもかけてもらえない
「いや、もう北方領土はもらってるから、もっとなんか出せ」
交渉を2行にまとめるとこんなところか。
あべぴょんを「信じてる」日経さんは、わざわざタイトルに「北方領土」銘打っているが、実際の交渉は北朝鮮問題がメインだろう。
首脳会談では核実験を強行した北朝鮮への対応も主要議題となり、地域の安定を脅かす深刻な脅威だとの認識では一致した。
だが、首相が「最大限の圧力」を求めて石油禁輸などへの同調を促したのに対し、大統領は「対話による解決」を重視する立場を曲げなかった。両首脳の会談は通算で19回。日ロの溝はなお深い。
北朝鮮への対応「も」、などと書いて、失敗の印象を薄めようとしている。
印象操作って、こういうのを言うんじゃないのかね?
だいたい、こんなにロシアに付け入る隙を与えたのも、あべぴょんによる中韓外交の「大」失敗が根底にあるわけで、刈り取る能もないくせに、タネを撒き散らすんじゃないよ、と言いたくなる。
この「大」失敗の要因は集団的自衛権を認めたことがあり、山火事を消そうとして、水とガソリンを取り違えたような仕儀となっている。
ついこないだまで、「北方領土が返ってくる!あべぴょん様万歳!!」と煽っていた馬鹿どもは、自ら口を縫ってもらいたいものだ。
しかし、馬鹿どもはまた「安倍外交は百点満点!」と湧き上がるのであろう。
右の人間が左っぽいことを言い出すと人気が出る
普段悪い奴が実は純粋で優しい心を持っている──とういうのは安っぽい物語の定番だが、依然として根強い人気がある。
政治的な物語はそういう「安っぽさ」によく親和するようだ。水戸黄門の「安っぽさ」がずっと続いていたのを見てもわかる。
で、普段悪い奴が実は……的な安っぽい物語の構造は、現代において「普段は右っぽい人間が、左っぽいことを言い出す」というところに現れてくるようだ。
日経さんが「信じてる」あべぴょんの自民党を打ち負かしただけでなく、日経さんが以前より推進を強く主張する築地市場の移転について、横槍を入れてきた小奴にはさぞかし腹立たしいことだろう。
日経さんの批判の当否はこの際置いておくが、なんだかんだ言いながら小池が豊洲移転を認めるだろうな、というのは最初から予測はついていた。
じゃあ、なんで小池があんな騒動を持ち上げたかというと、端的に「人気取り」のためだろう。
現代の無党派層の動向を見ると、どうやら「左っぽい人が左っぽことをしてもなんとも思わないが、右っぽい人が左っぽいことをすると途端にざわつき出す」ということがあるようだ。
これ、冒頭に挙げた「安っぽい」物語がウケる、というのと同じ構造があるように思う。
普段から優等生の人間が善行をなしてもなんとも思われないが、不良がたまたま善行をなすと必要以上にもてはやされる、みたいなものである。
小池以前にも、小泉の反原発への転向とか、橋下くんは憲法をわかってるとぬかす奴がいたりとか、なんか変な連中が「アベノミクスはリベラル」と言い出したりとか。
それらに対して妙な人気の盛り上がりがあった。
小池が意図してやってるのかどうかは、まだはっきりとはしないが、もし日本ファなんとかが近い将来反原発だの消費税減税だの言い出したら、眉にたっぷり唾を塗る必要があるだろう。