「平和」ってのは政治色のあるもんでは?

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 なんだかおままごとのような社説で、お客に行った先でゼリービーンズを山盛り出された時みたいにうんざりしてしまうんだが、日経さんの「政治」というものに対する視点がどうなっているのか垣間見ることは出来るように思う。

 日経さんは「国」別に対抗する、ほとんど「国家」事業と化したスポーツの祭典から、政治色というものを消せるとお考えらしい。

 再来年の東京オリンピックなんか、このままだと「政治色」でギンギラギンにさりげなくなりそうだが、日経さんはそうした事柄には知らぬ顔の半兵衛を決め込むつもりなのだろうか。

 普段経済のことばっかり考えているとこういう認識になる、とかいうことではなくて、日経さん自身が「政治」をいかに軽く見ているか、ということだろう。

 

 なんせ、歴代総理大臣の中で一番「政治」を軽く見ているだろう男を、「信じてる」などと崇めているのだから。

 あのバカ男がどれだけ「政治」を軽く見ているかは、以下の記事を読めば明らかである。

www.yomiuri.co.jp

首相「北方領土問題、私とプーチン氏が終止符」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180208-OYT1T50007.html

 

 

www3.nhk.or.jp

ロシア軍 国後島などで軍事演習開始 「北方領土の日」を前に

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180206/k10011318131000.html

 

 賭けても良いが、2020年までにロシアとの間にはなんらかのトラブルが持ち上がるだろう。その時、オリンピックでどのような態度をとるか、今から心配になってくる。またペコペコしながら金をむしられて終わらなきゃ良いんだが。

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株というものがのたうつ動きの背後に垣間見えるもの

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 日経さんがごにゃごにゃ言う前にとっとと相場が反発していて、「やっぱりなあ」という感じだ。もはや現代社会は、株式相場の上下で経済を語ろうとすると、少しく混乱することになる。というか、賢しらなことを言うとバカをさらすばかりとなる。こういうご時世になると、「経済」を語ることを商売にしている方々は大変だなあ、と同情を禁じ得ない。

www.bloomberg.com

 多少大きく下げたからといって、追証に追いまくられる人でなければ、酒飲んで頭から布団かぶって寝ちまえば、次の日には夢になってる寸法だ。

 

 とはいえ、日経さんの社説にはちょっぴり面白い部分がある。

 

株安の直接のきっかけは、2日発表になった1月の米雇用統計での賃金上昇だ。 

 

賃上げによる家計所得の拡大や、設備投資など実体経済の強化につながる方向に流れることが望ましい。 

 

 あれ?アメリカの株安は賃金上昇がきっかけで、日本では賃上げが望まれるの?

 つまらないツッコミだが、株式相場の動きの「原因」なんて、ただなんとなくそう言われている、という程度のものなのだ。

 しかし、「賃金上昇=株安」というのがアメリカでは通常の認識になっている、というのが興味深い。もちろん「経済的なファクターがあれこれするから」という経済通な方々の言い分は承知しているが、ここに米経済の「ゴルディアスの結び目」ができているように思われる。

 トランプはそれを一刀両断に断ち切ることを期待されて大統領となったわけだが、とりあえず結び目はさらに複雑に、そしてまた堅くむすぼれてしまった、ということがこの「認識」から窺えるのではないか。

 つまり、格差の解消について、トランプは手も足も出せないし、当人は出すつもりもない、ということだ。

 

 

 

「どんなに悲鳴が上がっても悲鳴が外に漏れなければ何もなかったことになる」ということ

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県民に丁寧に説明して理解を得ていく努力が重要になる。 

 

 現政権は「説明」など全くするつもりはないだろう。

 今回の勝利で自民党が得たのは、「情報さえ統制すれば、何があろうと何事もなく粛々と進めることができる、それは沖縄でも例外ではない」という強い自信である。

 自民党候補に投票した人たちが必ずしも基地移転に賛成ではない、ということは確かだ。

 しかし、その「悲鳴」は今後いっさい外に漏れてこない、というか、漏らさぬように気をつけることだろう。

 たとえ漏れても、それは他の雑音でかき消されるようにする。

 今後沖縄がどうなろうと、本土の人間は心やすらかに暮らせるようになってめでたしめでたし、という結末がやってくるわけだ。

 そのために「特定秘密」だの「共謀罪」だのというギミックも揃っている。

 市長が政権側に立つことで、これまでわずかに漏れ出ていた悲鳴の出口は、ぴったりと閉ざされるだろう。

 

 まだ知事選があるわけだが、この勝利で手応えを得た政権側は、さらにスケールアップした戦略を立ててくるはずである。

 「もう説明などする必要はない」と「説明」することで、それは完成される。

 沖縄の悲鳴の一切を封じ込めるまで、現政権はそうした「説明」ばかりするようになる。

 そしてそれは、日本全体の将来の姿でもあるのだ。

 

 

静かな悲鳴

静かな悲鳴

 

 

 

日経さんに好都合とは言えない現実

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 前回、米経済の安定成長についてはFRBを持ち出し、今回株安については「トランプ相場」とか言い出す日経さんなのである。

 そういえば、トランプ就任直後の暴落で、クルーグマンが「そらみろ、この下落は当分続く」と言ったら、すぐに株価が跳ね上がっていい恥をかいていた。

 日経さんはそんな様子は見せないが、文面からは「トランプざまあ」な気持ちが立ち昇ってくる。株価下落を言祝ぐ日経さんというのも珍しい。

 

 とはいえ、もはや株価が景気の指標とは言えないことは、多くの人が認識しているだろう。

 日本のように株にシリコン注入した整形相場でなくとも、米経済は株の暴落の影響などモロに受けたりはしないし、たとえ不景気でも株はそれなりに上がってしまうのが現状だからだ。

 未だ「株屋」の尻尾が取れない日経さんとしては、そうした「現実」は飲み込みづらいのだろうけれど。

 

 

日経さんに不都合な現実

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 トランプが大統領に決まった時、「これからアメリカ経済は大変なことになるかも!」と「懸念」していた日経さんだが、低空飛行を続ける日本を尻目に、アメリカ経済は安定成長を続けている。

 日頃から「グローバリズムこそが経済を成長させる」とのたまっていた日経さんにとって、「アメリカ・ファースト」と喚いて堂々と保護主義をぶち上げるトランプは、なんとも許しがたい存在だった。

 ところがどっこい、トランプが大統領に就任しても米経済は失速することなく、TPPを離脱したまま成長し、逆にTPPにしがみつく日本は低迷している。

 「これはFRBがきちんとやってるからだ。うん、そうに違いない。そうでなけりゃおかしい。そうに決まった」というのが今回の日経さんの社説である。

 要するに、保護主義だろうがグローバリズムだろうが、経済は成長するときは成長するわけで、「経済さえ成長すれば万々歳」という日経さんには、現状でトランプを批判できはしないのだ。

 

 とはいえ、アメリカが今も深刻な格差社会であることは疑いない。格差もまた「安定して成長」しているのだ。

 しかし、格差が広がろうが、国境に壁を作ろうとしようが、経済は成長する。

 モラルハザードで社会が衰退しようが、とにかく経済さえなんとかすればなんとかなる、という価値観では、あの腐ったラードを頭に乗っけたような爺さんに太刀打ちできないのだ。

 その辺は、アベノミクスを持ち上げて広告塔にされてしまった、スティーグリッツやクルーグマンも似たようなものである。

 

 安定して成長する「格差」によってひり出された、悪臭を放つ巨大なシロモノからホワイトハウスを解放するには、とりあえず「経済云々」が役に立たないという「不都合な現実」について、日経さんができることと言えば「目をそらす」ことくらいなのだ。

 

 

不都合な真実 (吹替版)
 

 

 

人類の9割は労働に向いてない

 人類の9割は労働に向いてないと思う。9割という数字はただのカンである。だいたい国会中継なんか見てても、向いてないのが総理やら財務やらやってんだから。

 それはともかく、日経さんや経済学者その他、自称「俺は経済に強い」人たちなんかは、このことをしっかり認識しておいたほうがいい。向いてないのに無理にやらせるからごたつくのだ。

 

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 将棋なんかでも急いで打つのは概ね悪手だが、日経さんのこれも相当な悪手である。

 そもそもその「支援」とやらを受けて、どこで働こうというのか。

 今や人手不足で、働く場所はいくらでもある、とおっしゃるかもしれないが、それは一部の「都市」だけで、地方は今も職がない状態だ。

 なので、職を求めて人は都市に集中せざるを得ず、それが限界集落やら負動産やらの問題を加速させている。

 

 生活保護は病気や障害などで生活に困った人を守る「最後の安全網」だ。いたずらに保護費が膨らめば、制度維持は難しくなる。 

 

 逆に保護費を膨らませるくらいでなければ、日本の社会そのものがやせ細ってしまうだろう。金が足らないのなら、防衛予算でも削っとけばいい。その方がずっと国家を「防衛」することができる。

 

 「とりあえず食えるのだからありがたく思え」という物言いは、社会を際限のない「愚かさ」へと突き落とすだけだ。

 そして、その「愚かさ」は、政治に如実に反映される。

 テロがはびこったりとか、無差別殺人が繰り返されたりとか、愚劣極まりない人間を首長に頂いたりとか。

 

 

 

そしてすべてがFakeになる

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 ご隠居さんのお小言のような、取り立ててどうということのない日経さんの社説である。日経さんはまだこの「通貨」がどのような可能性を秘めているか、測りかねているのだろう。

 

 仮想通貨というシロモノについて、意外な人物が批判的だったりして笑ったのだが、出現を耳にした当初から「こういうのは散々否定されつつも、広まっていくだろうな」と、諦めに似た予感を抱いていた。

 だいたい21世紀になって、資本主義は巨大な「ごまかし」で動いていることが暴かれつつも、みんな何となくそれを受け入れてしまっている、というのが現状なのだ。

 パナマなどのタックス・ヘイヴンなんかが代表的だが、イギリスのLIBOR操作やら、ギリシア危機やら、結局タネが丸見えの手品でもそれはそれ良し、ということになってしまっている。

 そんな状況下で仮想通貨のみを叩こうってねえ、「罪なき者のみ石を持て」とでもつぶやきたくなるってもんだ。

 

 仮想通貨はやがて「仮想」ではなくなり、通貨として流通するだろう。

 通貨発行の自由化という、ハイエクの夢が実現するわけだ。

 そこでちょっと思いつくのは、国債の問題がこれで解決しないだろうか、ということだ。

 国債保有している会社、組織、さらには個人も、国債を根拠にして仮想通貨を発行できるようにしてしまうのだ。

 その時通貨の根拠となった国債は、自動的に無期限・無利子となる。そうすれば日銀が買い取らずとも国債をどんどん発行できるし、仮想通貨を発行する側もスパコン並べてマイニングなどしなくても済む。

 かなり大雑把な思いつきだが、似たようなことは財務省や日銀でごちゃごちゃ考えているやつはいるだろう。

 そして「仮想」は仮想でなくなり、あらゆる価値が転倒される。「良いは悪い、悪いは良い」てなもんだ。

 

 念のため断っておくと、私自身は仮想通貨なるものを一つも手にしていないし、『すべてがFになる』という小説も読んだことがない。

 

 

すべてがFになる (講談社文庫)

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