拡大したらどうするつもりなのか
マイナンバーと聞くと、つい「ウルトラQ」の「1/8計画」を思い出す。1/8に縮んだ人間たちが暮らす理想社会は、互いに名前ではなく番号で呼びあう、ということになっていた。幼心に全体主義への恐怖を植え付けるのに十分な話だった。
だからというわけでもないだろうが、私の同世代にはこの「マイナンバー」について、生理的な嫌悪感を覚えるものが多い。
国や自治体による税や社会保険料の徴収などに役立てる狙いだ。改正案では預金口座の名寄せを容易にすることで公平で適正な納税につなげる。
なるほど。しかしそれは「預金封鎖」をも容易にするのではないか、という懸念が出てくる。最近もそれについての番組が話題になったそうだが、私は見ていない。
戦後の預金封鎖は新円切替とともに行われたわけだが、これには「株を買う」という抜け道があった。では、株を買ったものは無事資産を保全できたか、というとそう簡単にはいかない。
「インフレには株」というのは投資では常識になっているが、戦後の株価はインフレの物価上昇に比べると、その値上がりは総じて低めだった。儲けるにはやはり投機的な活動をせざるを得ず、高度成長期を生きた日本人には「株=博打」のイメージが定着した。
さて、ここからは下司の勘繰りになるが、マイナンバーてのは、預金を投資へと「いぶし出す」ためのものではないのか。
鳴り物入りのNISAも期待したほどではなかった、という話も聞く。
鳴り物入り「NISA」5割超が“休眠”の悲惨 もがく証券業界 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
デフレは「金」持ちには有利に働くが、「資産」家にはそうでもない。土地や株式が値下がりするからだ。
とりあえず異次元緩和で株価は上がったが、円安によって円資産全体の価値が目減りしているので、経済がグローバルになっている現状にあってはまだまだ足らないだろう。なかなか2万円にならないし。
さらに懸念として
匿名化を条件に様々な情報を商品開発などに使えるようにする。
などというのは、ろくなことにならない。どうしてそれを「信用」できるというのか。
「あなたはオレを信じなさい♪」という輩に対する不信も、また確かに「ウルトラ〜」から学んだものだった。