論点どころか論議すら
変える必要があれば変える。どんな物事にも当てはまる話だ。
まったくだ。原発が安全ではないのなら、脱原発に方針を変えれば良い。などという混ぜっ返しはさておき、一体何のために憲法を変えるのか、さっぱり見えてこないのが昨今の改憲「論議」とやらである。論議と言っても改憲派が勝手に言いっ放しているだけだ。反対論を見えないようにして、存在しないかのごとくしている。アンダーコントロールというやつだろうか。
ただ、自民党が自衛隊を国防軍に改めたがっていることは周知の事実だ。9条改正を故意に封印して有権者の目先をそらそうとしている。そう受け止められれば、自民党にはかえってマイナスだ。論点を無理に絞り込まなくてもよいのではないか。
堂々としたものである。
詐欺というのは堂々とやるものだそうだが、日経さんはそれにエールを送っているように見える。
どうやらここのところ、自民党の中で改憲「論議」とやらが勝手に煮えたぎっているようだ。反対意見は一切眼中に入れてないのが今回の特徴である。
とにかく改憲さえすれば夢のパラダイスがやってくる、というカルトじみた妄想ばかりが先走っている。
楽に実現する「お試し改憲」などありはしない。改憲派こそ護憲派以上になぜ変えたいのかを積極的に訴える責任がある。どういう憲法にしたいのか。回り道でも、全体像をじっくりと説明し、国民的な合意をつくり出すべきだ。
一見穏当な物言いだが、要は「政府が積極的に訴えたものについて国民は合意すべきだ」ということである。
こういう日経さんの「公正中立」ぶりは、政府にとって頼もしい限りだろう。