出口なし
日銀による国債買い取りなどの「緩和」が長らく禁じ手とされてきたのは、ハイパーインフレをまねくからでもモラルハザードが起きるからでもなく、「出口」がないからだ。
香港での例を挙げる人もいるが、あれは規模が違うしやり方もずっと上品だった。
とにかくこれを始めたからには、夢のパラダイスにたどり着くか、カタストロフにいたるか、どちらかしかないのである。
途中で降りたら、いや、降りようとしただけでも、株やら債券やらがえらいこっちゃになるだろう。
そして、その政策には「アベ」ノミクスなどという名が呪いのお札のように貼り付けられている。そのため、その「アベ」がいなくなったら、とたんにえらいこっちゃになるぞー、という脅しがそこから山彦のように響いてくる、という仕儀となっているわけだ。
政権がどんなにろくでもないことをしでかそうと、なかなか支持率がさがらないのは、こうした認識が「なんとなく」蔓延してしまっているからだろう。
言わば、この「なんとなく」がアベノミクスの「毒」なのである。
解毒剤としては、日銀に「この緩和をこのまま続けてもらいます」と対立する側が言ってしまえばいい。
「アベノミクスの最大の障害は安倍晋三」という認識を広めれば、アベノミクスの「毒」は雲散霧消するだろう。
まあ、日経さんとしては無理にでも出口を探したいんだろうけど、それにはまず裸にアベノミクスと大書して数人で踊るという宴会芸をやめるようにしないとな。