北朝鮮という鏡


訪朝で映る拉致協議の険しさ :日本経済新聞

 

 「日帝36年朝鮮半島に残したものは?」

 「北に天皇制、南に陸軍」

 70年代に口にされたジョークだ。当時の韓国は軍事独裁政権が支配していた。今となっては信じられないかもしれないが、その時は北朝鮮の方が経済的に進んでいた。

 このジョークは金日成への過剰な個人崇拝を揶揄したものだが、その後「天皇制」のごとく世襲することまで言い当てたものとなった。

 

 「今度こそ」と自信満々で始めた日朝交渉が、また暗礁に乗り上げている。

 国家による犯罪を調査することは難しく、それが独裁国家であればさらに難易度を増す。

 独裁者ほど自らの非を認めることに疎い人間はいないからだ。その意志が国中に行き渡っているなら、それはさらに酷いものになる。

 そう考えると金正日はよく認めたものだと思うが、これは当時の北朝鮮に関わる人々(ネットで売国奴呼ばわりされるミスターXなど)の努力と、当時の世界情勢による賜物である。

 

 自らの悪事が暴露されたあとでも、「自分は悪くない」と言い募る幼児性からは、確かに「北に天皇制」だということがうかがえる。

>北朝鮮が応じなければ、調査委の発足時点で一部解除した日本の独自制裁を、再び強めるという厳しい態度で協議に臨むべきだ。

 日経は「ふりだしにもどる」のをお勧めするようだ。

 しかし、それで揺らぐものでもないことは、「天皇制」の本家本元であればよくわかることだろうに。

 

 

日本社会と天皇制 (岩波ブックレット)

日本社会と天皇制 (岩波ブックレット)