人権をないがしろにしたいのはあべぴょんも同じ
トランプ政権がとんでもないのは確かだが、まだまだ日本よりはマシということも確かである。
米国は宗教的弾圧を逃れた移民が中心になってつくった国だ。基本的人権の擁護を、民主主義や市場経済とともに重視してきた。押しつけがましい面もあったが、世界に人権意識が広がる過程で米国の果たした役割は大きかったといえよう。
アメリカは「人権」を世界に広宣流布することを神から与えられた使命と考えていたが、トランプの信じる神はまた別な使命を与えたのだろう。そういえば、ユダヤ教だったっけか。
米朝首脳会談でトランプ大統領は安倍晋三首相に頼まれた日本人拉致問題は取り上げた。しかし、北朝鮮における非人道的な支配体制には触れなかった。
トランプが脱退を表明していた国連人権理事会に、日本は拉致問題を訴えていたんじゃなかったっけ。
そのトランプとあべぴょんは「完全一致」しているという。
そして、先般の歴史的米朝首脳会談は、トランプが人権を軽視しているからこそ、成立したことでもある。
この混沌とした状況、東アジアという「壺」の中で、蠱毒が作られつつあるようにも見える。
安倍首相はしばしばトランプ大統領との距離の近さを強調する。だとすれば直言ができるはずだ。するならばいまである。
日経さんが「信じてる」あべぴょんが、日経さんが嫌悪するトランプと仲良し、というのは腹わたの煮えることであろう。
しかし、人権を嫌悪することにかけては、あべぴょんだって負けてはいない。憲法から「基本的人権」を削除しようと躍起になっていることからもわかる。
トランプが金正恩と握手したように、あべぴょんとも握手するのは、ともに「人権が嫌い」という共通する価値観から来るのかもしれない。
ただ、あべぴょんは人権よりも北朝鮮が嫌いなだけである。正しくは、国内世論を煽るために嫌って見せている、のかもしれないが。
ところで、日経さんの切なる願いとしては、トランプには一刻も早く退陣してもらって、アメリカにTPPへ復帰してもらいたい、というのがあると思う。
で、ちょっと気になるのがこれ。
TPPの細かな条項はまだ伏せられてる部分も多いが、この日銀による株購入は自由経済を阻害する非関税障壁として認識されはしないだろうか。
特に、アメリカ企業から。
杞憂かもしれないが、矛盾したことを平気でやるというのは、かなり危険な橋をわたることでもある。
あと、日経さんも本音では嫌いなんでしょ?人権。
じゃ、原発停めないと
もうタイトルの一行で終わってしまうんだが。
日本の都市ではM6~7の地震がどこでも起こりうる。
いや、何重にも対策がなされていることは知っている。だが、地震によってどのような事態が起こりうるか、ということについて、まだまだ予測不可能な部分、もしくは予測してしまうと経済的に不都合が生じるので見ないふりをする、というのがあるからだ。
フクシマ以前にも、柏崎刈羽でもそうだった。
「予測してしまうと経済的に不都合が生じる」というのは、おそらく一人の命を奪ったブロック塀も、同じような事情から放置されていたのだろう。
それでも「対策」とやらをしたいのなら、いっそ地球が砕けても壊れないくらいのレベルの原発を作ったらいい。
結局、どうしたって採算が合わないのだ。
日経さんのいつも通り政権にあま〜い経済財政批判
いつも通り、日経さんの「批判のフリした目一杯のエール」である。
冒頭のコトリコフ教授とやらは、私の知る限りでも10年以上前から「アメリカ財政は破綻し、大不況がやってくる!!」と「予言」しているお方である。降るまで踊れ雨乞いダンス、というやつで、そんなお方のお言葉をありがたく持ち上げてみせるとか、これはあれか、「つかみはオッケイ!」というやつなのか。
内容は、一応長々とは書いているが、いつも通りのアレである。
・さっさと消費税を上げろ
・福祉はどんどん削れ
この2点である。
あべぴょんが支持率を気にして、なかなか強く打ち出せないことをわざわざ代弁してくださっているわけだ。
こうした日経さんがあべぴょんを「信じて」いるんだから、アベノミクスが「リフレ」だなんてのはウソの八兵衛(古いな)だとわかる。
しかしまあ、
消費税率を19年10月に8%から10%に引き上げる方針を明記したのは評価できる。基礎的財政収支を確実に改善するために、この増税は避けて通れない。
年金支給開始年齢を65歳から70歳に引き上げるといった抜本策から、目をそらすべきではない。
こうした事柄について、日経さんの読者たちはどのように考えているのだろう?
「俺は金持ちだからもちろん賛成だよ」だろうか?
言っておくが、日経さんが金科玉条とする「財政再建」について、上の二つはまったく役に立たない。
実際のところ、日経さんは財政再建なんかどうでもいい、というのが本音なんじゃなかろうか、と疑っている梅雨の夜更けなのである。
「辞任するくらいなら200兆くらい払った方がマシ」
昨日の米朝会談については、すでにいろんな人がいろんなことを騒いでいて、取り立てて付け加えようとは思わない、のだが少しだけ。
米朝間の交渉が進めばいずれ、北朝鮮への経済支援が焦点に浮上する。日朝間には「過去の清算」の問題も横たわっており、経済支援は日本の数少ないカードだ。政府は拉致、核、ミサイルの包括的な解決をめざす立場を堅持しつつ、早晩めぐってくる機会を逃さずに最大限生かすべきだ。
「経済支援は日本の数少ないカード」?
「数少ない」じゃなくて「唯一」だろ。
ポーカーでいうなら3のワンペアくらいの強さの。
このような状況をもたらしたのは、韓国や中国とまともに付き合おうとしなかったツケなのだが、日経さんはなぜそれを指摘しないのだろう?
それから、日経さんのこの物言いだと、
【速報中】トランプ氏、非核化費用「韓国と日本が払う」:朝日新聞デジタル
↑これを認めているように読み取れるのだが。
統一を目指す韓国の負担は当然だろうが、日本が払ういわれがあるのだろうか。しかもこれ、植民地化への賠償とは明らかに別腹である。
あべぴょんはトランプと直接会い、何度も電話でやりとりしているそうだが、これは前もって承諾していたことなのだろうか。
承諾していても、していなくても問題である。
もしこの先日朝会談がもたれるとしたら、絶対に条件として提示されるはずだ。
しかもこれは、あべぴょんの親分トランプのお墨付きである。
この事態をなんとかうやむやにするなら、あべぴょんが辞任してしまうのが一番確実だ。
モリカケでは辞任できなくとも、この問題でならプライドも満足するだろう。
だが、「辞任するくらいなら200兆くらい払った方がマシ」くらいに考えていそうで、梅雨空に同じく気分がどんよりしてしまうのだ。
自由経済が民主主義をレイプして生まれたトランプという鬼子
自由と民主の旗を振るだとか、さりげなく自由民主党アゲ(という言い方も廃れたようだが)しているつもりなのだろうか。
「自由経済」と「民主主義」というが、トランプ自身はそのどちらも自らの父であり母である、と考えているだろう。
どこぞの国の首相はクローニー・キャピタリズムを暴かれても恬として恥じず、反対意見が7割を超えるような法案を次々に強行採決しているが、それは「自由」と「民主」の名に恥じない行いだろうか?
そして、そんな首相を「信じて」やまない日経さんに、「自由と民主」などと口にする資格があるだろうか?
日経さんのいう「自由経済」とはグローバリズムであり、格差の拡大を放置することによって得られる「自由」である。
格差の拡大が極限に達することにより、経済的な自由のために不自由を被る人たちが「民主」主義的に選び出したのが、トランプという男なのだ。
日経さんがその虫歯だらけの口で、唾液を振りまきながら申し立てる「自由」と「民主」などでは、トランプの足元を揺るがすことすらできないだろう。
中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領が、自由貿易の旗手であるかのように振る舞うのは皮肉だ。G7がこのまま漂流し、統制国家の集合体に取って代わられるのでは困る。
独裁による自由経済ということなら、とっくに「シンガポール」というモデルがある。
今日、そのシンガポールで米朝会談が行われるわけだが、それは歴史の皮肉というやつなのだろうか。
第二の終戦を望まない人々
先日某幸福の●学の支部(毎度思うのだが、何であんな少女趣味のデザインなんだ?)の前を通った時、ふと掲示板が目に入った。正確には記憶していないが、例によって守護霊だかが何やらご託宣を垂れてくださっている、という内容。
その守護霊が司馬遼太郎だった。
さらに、そのご託宣の中身は「朝鮮が統一されると日本は滅ぶ」というものだった。
いつもならさっさと脳内メモリから除去してしまうのだが、今回は別な感想を持ったのでとどめておいた。
(へえ、一応感づいてはいるんだな)と変に感心してしまったのだ。
だが、滅ぶのは「日本」ではなく、「自民党」である。
幸福の●学にとっては「日本=自民党」なので同じことなのだろうが。
で、日経さんは例によって益体もないことをごにゃごにゃ述べたてているわけだが、トランプがあべぴょんのことなんか歯牙にもかけてないんだから、何をどうしようが無駄である。
トランプは、オバマのように日本を国家として最低限尊重する、などということは考えてやしないのだ。
とにかく、朝鮮戦争終結という事態が間近に迫り、保守や右翼が慌てふためく様子を見るにつけ、(ああ、日本の「戦後」は、終わらない朝鮮戦争によって支えられてきたのだなあ)との感を強くした。それは、数多の知性が目をそらしてきたことでもある。左右を問わず。
ただし、ここで保守や右翼の皆さんに希望を持たせておくと、朝鮮戦争終結についての最大の不安定要因はトランプ自身、だということがある。
どこでヘソを曲げるかわかりゃしないのだ。
プーチンも一応要因ではあるが、裏でがっちりトランプと繋がってる(陰謀脳!)ということでもあるし、それほど心配ではないだろう。しかし、レイシストと独裁者によってもたらされる「平和」によって、一方の独裁国家が窮地に追い込まれるとか、どんな喜劇なんだか。
朝鮮戦争終結ですぐに自民が崩落したりはしないだろうが、徐々に徐々に、人々の心の中からその重みが失せていくことだろう。
「国」で選ばられるもんかね
もはや落日の経済大国、かつての黄金の国ジパングは幻となった、というのが「外国」での評判である。
欧米のニュースでも日本の経済的な動きが大きく取り上げられることは少なく、たまに記事が出れば、19世紀のクローニー・キャピタリズムを引きずりつつ、その場その場で嘘をつく政権の腐敗ぶりと、それを支持してやまない日本人たちの愚かっぷりである。
ネット環境はすでに諸外国にあまねく広がっており、その国で働こうとするなら、まずちょいとネットカフェあたりで情報収集くらいはするだろう。
労働環境について検索すれば、たちまちkaroshiという単語に行き当たり、それに対して政府がまったく冷淡な態度を取っていることもわかる。
「技能研修」と名付けられたものが、ほぼ奴隷労働と変わらないことも知れるはずだ。
だが、それでもやってくる人間はいるだろう。
ちょっと考えてみてほしい。日本人が海外で働くとき、欧米以外を選ぶ場合、「国」ではなく「仕事」すなわち「賃金」で選んでいるはずだ。
「国」よりも労働条件が優先して考えられるのであり、「国」といういわゆる「ブランド」がそれを覆い隠すのは、その国が憧れの対象となっている場合だけである。
「日本」は果たして憧れの対象となっているだろうか。
マンガやアニメの評判は聞くが、それは「日本」とイコールではないし、それらに憧れてくる人たちは、政府が期待するような労働に従事してくれはしないだろう。
日経さんが社説で言い垂れる「選ばれる国」という言葉には、「日本」というブランドに憧れてくる人に、低賃金過酷労働に就労していただこう、という下劣な欲望が隠されている。
しかし、「日本」そのものに、もはや日経さんが期待するようなブランドイメージはない。
ここで本来なら餌で釣るほかないが、政府と日経さんはその餌もつけずに「釣り」をしようとおっしゃる。
日本の企業が雇った外国人が母国にいる家族を健康保険の被扶養者にし、家族が母国でつかった医療費を日本の企業健保などに請求する悪質事例も増えている。
この制度は麻生内閣で垂らされた「餌」だが、それを日経さんは
こうした制度の穴をふさぐ手立ても早急に講じる必要がある。
などといって「餌」を外せとおっしゃる。これで永住権も与えず、家族の帯同も認めない、移民のように見えるけど移民じゃない、低賃金で過酷な職場で働く都合のいい労働力を釣ることができるのかどうか。
だがしかし、それでも釣られる魚はいるわけで、それがどんな魚かといえば、それはもう、騙された魚である。
前半部で述べた「それでもやってくる人」とはそういう人たちだ。
その人がずっと騙されたままということはなく、実際に働き出せばすぐ自分が騙されたと気づくだろう。
騙された人たちが故郷に帰れば、黙って騙されたままにはならないから、他の人々に自分の体験を話す。
するとそれによって、「日本」のイメージはさらに悪くなる。
こうした負のスパイラルはとっくに起こっていることかもしれないが、今度の「骨太」の方針とやらで、それがさらに拡大されることは確実だ。
日本政府が少子化対策にさっぱり本気にならないのは、将来本格的に移民を入れれば解決する問題だとして、のほほんと構えているからだ。
その時、果たして移民から「選ばれる国」になっているだろうか。