で、アメリカは?

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 また穴埋めゆるゆる社説なわけで、遅ればせながら日本が参加したことはまことに慶賀すべきことではあるが、なぜここでアメリカについて触れないのか。

 トランプ政権に対してあれほどブチギレていたくせに、こういうところでさらっと流されていると、日経さんは実際環境問題とか気に食わないんだろうな、と勘ぐってしまう。

 この議定書は「生物多様性条約(CBD)」によるものだが、CBDは国連加盟国でアメリカだけが批准していない、というのが現状だ。

 自分のところの地名がついた議定書がズルズル遅れたのは、そっちの影響があるだろうことは容易に想像できるわけだが、日経さんは「さー、これから頑張ろうね」でお茶を濁している。

 

 あと、それから、

 

議定書を名古屋で採択した当時、日本政府にはこの分野でリーダー役を果たそうという気概があった。その初心を取り戻すときだ。 

 

 その当時の政権は、民主党だから。

 これって、遠回しな嫌味なのかね。だったらもっとはっきり書けよ。それとも筆が滑ったのかな?日経さんとしては。

 

 

世界に乗り遅れないための 生物多様性読本

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都議選後に「やっぱり移転します」じゃないの?

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 あれだけ騒いでおいて、選挙が終わるまでは判断保留では、二股かける性悪女のようでよろしくない。

 

都議選後に問題を先送りすることは責任ある態度とは言い難い。 

 

 しかし、移転に賛成しても反対しても、都民ファなんとかは大きく勢いをそがれるだろう。

 出来たばかりの都民ファなんとかとしては、このままどっちつかずで選挙をした方が戦略的に有効なので、そのようにしておきたいところだ。

 対する自民としては、ここで小池に態度表明させることが戦略として有効である。

 なので、日経さんはしっかり社説で後押ししているわけだ。まあ、日経さんは元々から移転推進派だしね。

 

 だが、案ずることはないだろう。小池はなんだかんだと理屈を言って、選挙後に移転を決定すると思う。お仲間の幸福実現党が移転を強力に推進していることからもわかる。

 

 あと個人的に不可解なのは以下のことだ。

 

築地には戦後、進駐軍向けのクリーニング工場などが立地し、都の簡易調査ですでに環境基準を超える有害物質が検出されている。

 

 この件について鬼の首を取ったように騒いでいる人を見かけるが、だったらより一層汚染のない場所への移転が望まれるのではないか。それとも、今まで問題なかったのだから、改善など必要ないという立場なのか。それでは「食べても誰も死んでないんだから大丈夫」という、鶏肉偽装工場の物言いと同じではないか。

 

 残念なのは、民進党の若いのが小池に引き寄せられてるってことで……

 後で泣きを見ても知らないからな。

 

 

性悪猫 (やまだ紫選集)

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ひょろひょろの援護射撃

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 何かと思えば、日経さんの援護射撃である。

 指で鉄砲作って「ばんばん」と言ってるだけの。

 

そもそも法的な根拠がないままに文部科学省が半世紀あまりにわたり、行政指導で獣医学部の新設を阻んできたことこそが岩盤規制である。既存の学部や獣医師が不利益を被るというのは、競争を嫌がる供給側の理屈にすぎない。 

 

 不利益を被るのは、需要もないのに獣医を目指してしまう若者の方ではないのかね。

 鳴り物入りで始まった法科大学院が今どうなっているのか、日経さんは知らぬふりのようだ。

 

医学部も同様だ。今春、千葉県成田市の戦略特区で国際医療福祉大が医学部を開設させた。特例を除くと新設は38年ぶりだ。新薬開発など医療技術は高度化している。参入規制にあぐらをかく既存医学部に、時代に即応できる医師を輩出させる力があるだろうか。 

 

 千葉といえば、こんな話もあるようだが。

 

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加計学園の理事長と首相は友人関係にある。この間の経緯を白日の下にさらすのは当然だが、戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪すぎる。

 

 だいたい規制緩和というのが錦の御旗となりうるのは、規制があるとそれを乗り越えるために政治家が介入してくるわけで(近年だと甘利なんかの例だね)、そういうアホなことをなくすということが大きい。それなのに、「戦略特区」とかわめいて政治家がどうどうと介入してくるじゃ、本末がでんぐり返って元に戻っている。

 「特区」の名の下に政治家が汚い手を突っ込んできてるのは事実なんだったら、野放図な「緩和」を見直すのは当然ではないのか。古いCMじゃないが、くさい臭いは元から断たなきゃダメなのだ。

 

ここまで的を外した法案は珍しい。 

 

 さっぱり的までとどかない社説ってのも、まあ、日経さんは珍しくもないか。

 

 

 

結局「子ども手当」で良かったんじゃないの?

 なんかまた「骨太」の方針だとかで、骨だけあって肉がないとか、そういうやる気のない感じの仕上がりになっている。

 日経さんはちょっとそこに苦言を呈してみた、という態のどうでもいい社説を書いてお茶を濁している。

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幼児教育・保育の無償化は、これまで段階的に範囲を広げてきた。「こども保険」など新しい財源案も浮上しているが、「無償化ありき」は論外だ。まずは待機児童対策にめどをつけたうえで、どこまで無償化を広げるかの議論を深めたい。

 

 要するに、無償化だとか、福祉の拡充は認めたくない!日経的に!みたいなもんである。

 とはいえ、こういうおっさんが頭の中でこねくり回しただけの、さっぱり「現場」の状況を鑑みない「方針」というやつは、だいたい上手くいかない。日経さんが心配せずとも、最初からやる気なんかないだろうし。そういうことは、本文を読めば丸わかりである。

 

1 人材投資の抜本強化

世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、子供たちの誰もが、家庭の経済事情にかかわら ず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる社会を創る。また、 誰もが生きがいを持ってその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を実現する。その 際、教育が果たすべき役割は極めて大きい。

小中学校9年間の義務教育制度、無償化は、まさに、戦後の発展の大きな原動力とな った。70 年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、多様な教育について、全て の国民に真に開かれたものとしなければならない。

その第一歩として、幼児教育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源の確保の進め方を検討し、年内に結論を得、高等教育を含め、社会 全体で人材投資を抜本強化するための改革の在り方についても早急に検討を進める。

 

 (どうも pdfからの引用はキレイにいかない)

 

 「検討し」「検討を進める」である。間に「結論を得」とか書いてあるが、どんな結論になることやら。現内閣なら「結論はないという結論に至った」でも十分にありうるだろう。

 そもそも「教育」とは「投資」なのか?(そもそもは本来的な意味で)

 投資という、利潤を期待した用語によって教育を語ろうとするところが、まちがいのもとではないのか。

 結局「子ども手当」をばらまいていたほうが、現状では良かったんじゃないのだろうか。まあ、その結論は、百万回死んでも口にしたくないだろうけど。

 

 

 

日経さんのゆる社説

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 ここんところの日経さんの社説のしょーもなさは、巣鴨のすがもんの尻なみである。ゆるキャラならぬ、ゆる社説ということか。今までもちょくちょくひどい日はあったが、ここまでゆるくはなかった。

 

 日経さんのレゾンデートルである株価が上昇して大喜びというわけだが、手放しで喜ぶと威厳に差し障るとばかり、無理にむつかしい表情を作っているオヤジのようである。

 で、現在の日本の株価が「あげぞこ」であることは、ちょっと気の利いた高校生なら知っていることだが、日経さんはそのことについてヒヨコの羽毛についたダニほどにも触れようとしない。

 その「あげぞこ」が「アベノミクス」と連結している(と錯覚している)ために、「他よりマシ」とかいう政権を支持する理由になっているわけだが、それは言わない約束ということなのだろう。

 

 しかしまあ、世界的な上昇トレンドもうそくさいが、このタイミングで上昇する株価も十分にうそくさい。

 日経さんは上がりさえすればなんだっていいんだろうけどね。

 

 

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発展途上国型経済成長

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 こうなるとは思っていたが、ずいぶんと遅かった。

 発展途上国の経済成長率が高いのは、成長の余地が大きいからではなく、とりあえずごく一部の層がとてつもなく富裕になることで成し遂げられるからだ。

 別に珍しいことではない。アメリカや中国を見てみればいい。経済成長は格差拡大によってもなされるのである。

 

 で、このタイミングで共謀罪が採決強行された。

 国民が多数の議席を与えたのは経済の改革を願ったからで、共謀罪成立を認めたわけではない。

 しかし自民党は、参考書を買うと言ってもらったこづかいでエロ本を買う高校生のように、勝手なことばかりしている。

 しかも、「アベノミクス」とやらの「毒」によって、国民には「自民党が弱くなるとせっかくの経済成長がダメになるぞ」と脅迫済みである。

 

 戦前、高橋是清がリフレを行ったとき、やはり大幅な経済成長があった。

 その時も失業率は改善したが、同時に格差もとんでもなく広がった。そのことについては、是清も演説の中で認めている。

 当時もリフレ政策によって日本経済は立ち直ったように見えたが、格差拡大の状況は改善されず、むしろ改悪された。歩調を合わせるようにして、大陸では戦火が拡大していった。

 昭和11年2月、選挙では右派政友会が壊滅的な敗北を喫し、左派無産党が歴史的な躍進を遂げた。

 だが、その数日後に2.26事件が起き、この選挙の結果はうやむやとなった。

 反乱将校たちがどれだけ御立派な理想を抱えていようが、しでかしたことはろくでもない結果をもたらしただけだった。

 歴史は繰り返すだろうか? 繰り返すなら「喜劇として」だが、もはやみんな幸福によって笑うことを忘れ、他を蔑む笑いばかりがはびこっている。繰り返されるとするなら、舞台の演者だけが笑っている、お粗末で白けた「喜劇」だろう。

 

 雇用情勢の改善は続いているものの、1人当たりの賃金が伸び悩んでいるからだ。賃金が低迷したままだと、個人消費の持続力に不安を残す。 

 

 この指摘があることは、なるほど日経さんの「経済」新聞の面目である。

 しかし、現政権はそんなことを気にもしないだろう。

 そういえば、GDPの計算法が変わったはずだが、もはやそんなことも忘れているかのようである。日経さんもね。

 

 

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 念のため追記しておくと、経済成長は必要だが、その「数字」ばかりを優先することは間違っていると思う。

 成長すべきは「社会」であって、経済成長の数値はそれを図る「目安」だからだ。

 テストで100点をとったからといって、その子の頭が良くなったとはいちがいに言えない、だからといってテストをないがしろにしていいわけでもない。そんな感じか。

 社会が成長したその結果として経済成長はあるべきだ。

 経済原理主義者は「経済成長を否定するお花畑ガー」と騒ぐようだが、否定しているわけではなく、本質を見失うなという話である。

モンスターペアレンツな日経さん

 モンスターペアレンツといえば、とにかく他人の子には最大限厳しく、しかし自分の子には果てしなく甘い、というのがよくあるパターンだろう。

 「まあ、このクソガキ!親の顔が見たいわ!」

 「あらぼくちゃん、おいたはいけませんよ、おやめなさいな」

 他に厳しく自分に甘くは人の常なれど、度が過ぎればまったくみっともないこととなる。

 で、日経さんの今日の社説は、笑っちゃうくらいそのパターンにはまっている。

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 トランプに対してはやたらと厳しく言うくせに、あべぴょんに対しては「あら〜、だめよ〜、困った子ね〜」という調子である。

 まあ、加計の件について触れているのはいいんだが、その口調がグラブジャムンのように甘々でどうしようもない。

 日経さんがあべぴょんに物申すときはいつもこの調子だ。

 モンスターペアレンツは子供への愛を履き違えている、とはよく言われることだが、日経さんはこの国への愛を履き違えているのだろう。