「日本抜き」の世界はとっくにやってきている

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 日本が経済大国となって半世紀以上過ぎた。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という自己満はいまに始まったことではない。米国に追従して無謀な戦争に加担したり、金融市場の混乱に自分から飛び込んだり、とアメリカに振り回されてきた。だが、いまほど自国に引きこもり、存在感を失った日本は記憶にない。

 

「日本抜きの世界」はとっくにやっきていたのだといえる。私たちはこの新しい秩序、いや、無秩序にどう向き合えばよいのだろうか。

 あべぴょんが総理に就任して5年目に入った。メディアとして、ここがよい、ここが不十分だ、という通信簿はきっぱりと別れている。

 残念ながら、あべぴょん政権はありきたりの論評にはなじまない。長所や短所を探そうにも、そもそもあべぴょんは改憲だけがやりたいわけで、その他の部分を誰が主導しているのかがよくわからない。

 政権の発足の前後、あべぴょんの一挙手一投足は「保守」の注目を集めた。ネットで異様な人気の高さから、特別扱いにした動画サイトもあった。

 最近は読むに値する情報はあまりない。政権の経済政策の目玉に「三本の矢」とか言ってはみたが、具体的にはほぼ無為無策であった。

「TPP断固反対」「拉致被害者を取り戻す」「日本をとりもろす」──。これらの主張はどこへ行ったのか。公約で本当の実現したのは、原発再稼働と消費税増税くらいだ。

 あべぴょんが尊敬している岸信介首相は、自身が元戦犯であることもわきまえず、安保条約を押し通して「昭和の妖怪」とまで呼ばれた。

 自民党の主流派となって独裁的な権限を得、デタラメな閣議決定を連発している。しかし、もり・かけ疑惑に足を取られて、もはやこれまでのような暴走はしづらくなっている。あべぴょんは3期目の首相続投を狙っているが、何もできずに下降線をたどって終わるのではなかろうか。

 時事通信の調査では13日時点の支持率は29.9%。6月に記録した45.1%から急落したが、辞めるつもりはさらさらないようだ。もはやあべぴょんの顔色をうかがっても仕方がない状況だが、日経さんはまだまだ「信じている」ようである。

 日本はどうすればよいのか。欧州やアジアの主要国との連携を深めることだ。国内秩序の漂流を少しでも食い止めるために。

 

 

 ……とまあ、今回は日経さんの社説に丸ごと乗っかって書いてしまった。

 こうして書いてみると、政治の「劣化」というものについて、日本はアメリカよりずっと先を行っているのだとわかる。もしかすると、世界の最先端と言えるのではないか。やれやれ。