ゴーン逮捕は日本にとって良いこと
日経さんの社説のタイトルは全くその通りだ。
しかし、「抜本」というからにはその「根本」を見つめ直すことが求められる。
なぜ実習生が劣悪な環境に置かれるかというと、そうした環境にあって低賃金で働く「奴隷」を、この日本という社会が必要としているからだ。
彼らが低賃金で働いているからこそ、例えば鶏卵は1パック100円で売ることができる。
そして、それを必要としているのは、鶏卵を1パック100円で買おうとする貧しい消費者「ではなく」、多くの消費者を貧しいままにしておきながら鶏卵を1パック100円で買わせることで、かろうじてその不満を封じている「上つ方」の連中である。
富裕層とそれ以外(もはや貧困層などではなく「それ以外」である)の格差が広がり、やっと飢えずにいる状況でありながら、必要とあれば雇用の調整弁として首を切られる「それ以外」は、富裕層が年代物のロマネ・コンティを死蔵するために貧しいままに留め置かれるのである。
しかも、「この素晴らしい日本という国で、栄えある日本国民であることに感謝しろ」という強制付きである。
こうした状況を変えることこそが「抜本見直し」である。
日経さんが社説で述べる種々の事柄は、やった方がいいが「抜本」とは呼べない。
こうしてみると、今回のゴーン逮捕は日本にとって良いことであったと思える。
もちろん、モリカケでゼンマイの切れた玩具のように動かなかった検察など信用してはいない。彼らがどのような政治的思惑で動いているか、ということとは関係なしに、「コストカッター」として手腕をふるい、確実に日本の年間自殺者数を増やしてきた男が逮捕された、ということそのものが「良いこと」なのだ。
今後どのような罪状が暴かれるかわからないが、今まで俯いて諦めた笑みを浮かべていた「それ以外」が、少しは目線を上げるきっかけくらいにはなるだろう。
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追記
あと、これにはちょっと吹き出してしまった。
「出身国がどういう経済的状況であろうと日本人と同等以上の賃金で」安倍首相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
先日ここで書いたエントリーで、
外国人労働者に最低限なすべきこととは、絶対に日本人の労働者以上の賃金を支払う、ということである。
と書いていたからだ。
「誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要」というのは、その発言が論として批判をなしている場合であり、発言に対する行動の主体がその言を成している場合は、「何を言ったか」以上に「誰が言ったか」が重要になってくる。
この場合、発言者は嘘をつかないと死んでしまう男であり、このように「正しい」ことを述べてとりあえず批判を避けようという姑息さは、国家に対する重大な犯罪としてカウントしてもよさそうにも思える。