日経さん、また「ツッコミ待ち」をする。
日経さんの「議論を尽くせ」は、「議論」とやらを「尽く」しさえすれば、あとは何もしなくていいという意味合いである。
もしかすると、日経さんの『用語の手引』にはそう書いてあるのかもしれない。
とにかく今回の社説、無駄に偉そうである。どういう具合に偉そうかというと、なぜか大正テレビ寄席でスーツ着て漫談していた往年の立川談志のように偉そうだ。
米朝首脳会談が開かれ、日中関係も改善の兆しがみえる。一時の緊張は和らいだが、軍事力の近代化や脅威の多様化で「アジア太平洋地域の安保の課題や不安定要因はより深刻化」(防衛白書)している。
対北朝鮮、対中国で緊張が緩和したなら、「深刻化」ってなんじゃらほい。
北朝鮮は既存の核・ミサイルを全く手放していない。中国は航空母艦や潜水艦、次世代戦闘機といった海・空戦力を急速に拡大している。
それが脅威というなら、日本の自衛隊だって周辺国にとって脅威だが。
宇宙、サイバー分野など新たな脅威への対処も課題となる。
宇宙はともかく、サイバーはわからんでもない。
で、パソコンに触ったこともないのが、「サイバーセキュリティ担当大臣」だったりする訳だが、こういう「意識」の問題を先になんとかした方がいいんじゃないのかね。
防衛にだって関係してくる話だろうに。
自民、公明両党の防衛大綱見直しに向けた作業部会の初会合で、防衛費が大幅に増えざるを得ないとの声が出た。脅威の対象や空間の広がりに応じて新規の予算措置がいるにしても、限られた財源の中で何を重視し何を削るのか、精査を徹底してほしい。
「精査を徹底」とツッコミを入れつつ、次にこんなボケをかます。
歳出が増える要因のひとつは、米国から巨額の防衛装備品を調達するためだ。
「ほんなら、断らんかい!」とツッコミたくなるが、ここは流してしゃべらせてみよう。
安倍晋三首相は自衛隊幹部らに「これまでの延長線上ではなく、大局観ある大胆な発想で考え抜いてほしい」と指示した。護衛艦の空母への改修の是非や次期戦闘機の開発のあり方、「専守防衛」の理念との整合性なども、この機会に議論を深めたい。
トランプの言いなりになって兵器を買いまくることが、「大局観ある大胆な発想」なのだろう。
宇宙・サイバー防衛などに陸海空の各自衛隊が横断的に対応する「クロス・ドメイン」について、与党会合で「日本語でわかりやすくすべきだ」との注文がついた。防衛は巨費がかかるわりに実態がみえにくい。国民にわかりやすく説明することも重要である。
この注文って、まさか「サイバーセキュリティ」の人がほざいたんじゃないだろうな。
「わかっとらんのは、お前らやろ!」とツッコンでも、「もうええわ!」と終りにならないのが、この漫談の頭の痛いところである。
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追記
こんな「大ボケ」を防衛省がかまして来たが、日経さんはさらっと流すのだろうか。
東京新聞:米兵器ローン急増 来年度予算圧迫 防衛省、支払い延期要請:社会(TOKYO Web)
防衛省が今月初め、国内の防衛関連企業六十二社に対し、二〇一九年度に納品を受ける防衛装備品代金の支払いを二~四年延期してほしいと要請したことが関係者への取材で分かった。高額な米国製兵器の輸入拡大で「後年度負担」と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増。編成中の一九年度予算の概算要求では、要求基準を事実上二千億円超過しており、国内企業に「返済猶予」を求めるという異例の事態となっている。 (「税を追う」取材班)
要請を受けた企業は「資金繰りに影響が出る」などと反発。企業側の同意がなければ支払いの先送りはできず、年末の一九年度予算案の作成までに、どれだけ削減できるかは不透明だ。
複数の関係者によると、防衛省は今月二日と五日の二回に分け、航空機や艦船の部品を扱う企業などを同省に呼んで説明会を開催。一九年度に納品予定の部品の契約を変更して追加の発注を行う代わりに、代金の支払いは追加分が納入される二一~二三年度に一括して行うと提案した。今後、個別に各社と交渉したい考えを示したという。
輸送機オスプレイや早期警戒機E2Dなど、安倍政権になってから米国政府の「対外有償軍事援助(FMS)」に基づく高額兵器の輸入が急増し、FMSのローン残高は本年度一兆一千三百七十七億円と五年前の約六倍に拡大している。
一九年度に支払時期を迎えるローンは、国内産兵器分と合わせて二兆六百四十七億円。同時に支払額より四千四百億円多い二兆五千百億円の新たなローンが発生する「自転車操業」の状態になっている。
防衛省は一九年度予算で、本年度当初予算の2・1%増となる過去最大の五兆二千九百八十六億円を要求しているが、ローン返済額(歳出化経費)と人件費・糧食費を合わせると要求の八割を固定経費が占める。
そのため、例年は二千億円程度を盛り込む米軍再編関連経費の額を概算要求に盛り込まなかった。防衛省の幹部はこれまでの取材に「要求額を小さくしていると批判が来ることは分かっていたが、そうせざるを得ないほど後年度負担(兵器ローン)がのしかかっている」と証言していた。
ゴーン逮捕は日本にとって良いこと
日経さんの社説のタイトルは全くその通りだ。
しかし、「抜本」というからにはその「根本」を見つめ直すことが求められる。
なぜ実習生が劣悪な環境に置かれるかというと、そうした環境にあって低賃金で働く「奴隷」を、この日本という社会が必要としているからだ。
彼らが低賃金で働いているからこそ、例えば鶏卵は1パック100円で売ることができる。
そして、それを必要としているのは、鶏卵を1パック100円で買おうとする貧しい消費者「ではなく」、多くの消費者を貧しいままにしておきながら鶏卵を1パック100円で買わせることで、かろうじてその不満を封じている「上つ方」の連中である。
富裕層とそれ以外(もはや貧困層などではなく「それ以外」である)の格差が広がり、やっと飢えずにいる状況でありながら、必要とあれば雇用の調整弁として首を切られる「それ以外」は、富裕層が年代物のロマネ・コンティを死蔵するために貧しいままに留め置かれるのである。
しかも、「この素晴らしい日本という国で、栄えある日本国民であることに感謝しろ」という強制付きである。
こうした状況を変えることこそが「抜本見直し」である。
日経さんが社説で述べる種々の事柄は、やった方がいいが「抜本」とは呼べない。
こうしてみると、今回のゴーン逮捕は日本にとって良いことであったと思える。
もちろん、モリカケでゼンマイの切れた玩具のように動かなかった検察など信用してはいない。彼らがどのような政治的思惑で動いているか、ということとは関係なしに、「コストカッター」として手腕をふるい、確実に日本の年間自殺者数を増やしてきた男が逮捕された、ということそのものが「良いこと」なのだ。
今後どのような罪状が暴かれるかわからないが、今まで俯いて諦めた笑みを浮かべていた「それ以外」が、少しは目線を上げるきっかけくらいにはなるだろう。
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追記
あと、これにはちょっと吹き出してしまった。
「出身国がどういう経済的状況であろうと日本人と同等以上の賃金で」安倍首相 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
先日ここで書いたエントリーで、
外国人労働者に最低限なすべきこととは、絶対に日本人の労働者以上の賃金を支払う、ということである。
と書いていたからだ。
「誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要」というのは、その発言が論として批判をなしている場合であり、発言に対する行動の主体がその言を成している場合は、「何を言ったか」以上に「誰が言ったか」が重要になってくる。
この場合、発言者は嘘をつかないと死んでしまう男であり、このように「正しい」ことを述べてとりあえず批判を避けようという姑息さは、国家に対する重大な犯罪としてカウントしてもよさそうにも思える。
意固地に憲法改竄したがっているのはあべぴょんの方だが
本来の日本「経済」新聞であるなら、ここは「憲法なんぞ議論する暇があれば経済をなんとかせんかい!GDP下がっとるじゃろが!!」と叱りとばす局面ではないか。
それをのんびり憲法「論議」などと、日経さんはどこまであべぴょんを信じて甘やかすのか。
ちょっと日経さんに、あべぴょんの憲法「改竄」案が、どのくらい日本経済に資するのか「論議」してもらいたいものだ。
ところで、日経さんは「論議」などとぬかすが、あべぴょんとその一味のすなる「論議」なるものは、広辞苑に載っかってるようなちゃんとしたものではない。
「議論の環境が整わない」として審査会の開会を妨げるのはいかがなものか。
ただ一方的に自分の意見を言い放ち、反論には一切耳を貸さず論点をずらしまくり、いたずらに時間を消費することで「論議を尽くした」「こんなにも論議したのに野党はまだ文句があるのか」などとぬかすためのアリバイづくりでしかないのだ。
意固地になって開会を拒否し続ければ、いずれ逆風は野党に向くだろう。
逆風なら、この社説で日経さんが率先して吹かせているではないか。
国会論戦は議事録という公文書に記録が残る。護憲ならば護憲、改憲ならば改憲の立場できちんと発言することが、国民の憲法への理解を深める一助になる。
一助なんぞになりはしないことは、日経さん自身もよくわかった上で書いているのだろう。
「きちんと発言」なんぞ、あべぴょんとその一味はハナからするつもりがないのだから。
それでも「保守」の方々がわーわー詭弁を並べ立てれば、国民は憲法を「理解」してしまうという具合である。
日経さんは犯罪的な憲法「改竄」に手を貸しているわけだが、その辺は「きちんと理解」できているのだろうか。
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日経さんがうろたえすぎてヤクザみたいなことを言い出している
またゴーンである。
世間は「企業トップの犯罪」「しかし日産立て直しの功労者でもある」「司法取引がよくわからない」「フランスの陰謀を防いだ」などと騒がしい。
自民党がどう出るか知らないが、検察がつついてきたのは役員報酬開示義務についてであって、これを決めたのは民主党政権である。
金融庁、1億円以上の役員報酬開示義務化 改正内閣府令で :日本経済新聞
「保守」の皆様は、こうした点からもゴーンの肩を持ち、検察に「苦言を呈する」かもしれない。でなくとも、ゴーンと「コストカッター」の志を同じくする新自由主義の方々は、なんとかして「労働者の人件費を削りまくって役員報酬をかさ上げする」流れを守ろうとするに違いない。違いないというか、日経さんがすでに必死になっている。
ゴーンにばかり権限が集中したことで組織腐敗が起きたことは、問題といえば問題なんだが、それ以上に問題なのは日経さんのこの物言いである。
残念なのは検察当局が動くまで、統治の不全にメスが入らなかったことだ。自浄能力の高い組織なら、司直の手を借りなくても自力で事態の改善に取り組んだはずだが、日産はそうではなかった。
会社の中でごまかしてしまえれば、これまで通りに「労働者の人件費を削りまくって役員報酬をかさ上げする」ことができたのに、と歯噛みする音が聞こえてきそうだ。
まかり通る「企業文化」への反省が微塵もないところなど、ヤクザの言い分と大して変わらない。
今回の事件は、こうした日経さん及びその眷属による企業への「甘やかし」が、背景としてあるということを自戒してもらいたいものだが。
バラマキにならない本当の「対策」には猛反対するくせに
政府が模索する「対策」とやらが、朝三暮四どころかいつの間にか朝三暮二になってるようなシロモノで、とてもじゃないが対策とは呼べないことは確かだ。
だが、それを「バラマキ」と呼んで詰り、やめさせようとする日経さんは、上つ方の暮らしさえ良ければ、日本の経済なんかどうでもいいかのように思える。
実は、私は消費税増税について賛成でもないが、反対でもない。
消費税を増やすというのなら、原点に立ち返ることが求められる、というだけだ。
その原点とは、「福祉の拡充」である。
消費税とは、元々そうした目的で導入されたのではなかったか。
それを日経さんは、「財政健全化」のためにだけ消費税があるかのように論じていき、
消費増税をしても、その対策と称してどんどん財政支出を増やせば、増税の意味はなくなる。消費税の増収分は、増加を続ける社会保障費と財政健全化に充てるべきだ。消費増税対策に名を借りたバラマキになってはならない。
最後の最後に「社会保障費」と思い出したように付け加えている。
だがそれなら「財政健全化」の文言は削られるべきである。
そして、ここに到るまでの議論はまったく逆方向に書き換えられなくてはならない。
前回の消費税増税で、政府は「増税分はすべて福祉に充てる」とぬかして福祉をごっそり削った。
また同様の詐欺を堂々と行うよう、日経さんは政府にエールを送っているわけだ。
まるで政府を批判するような口ぶりで、政府の思惑に寄り添うその態度は、社会の木鐸としての役割をドブに捨てるようなものである。
いつものアレ
毎度毎度の隠居の繰り言、「おじいちゃん、その話するの三十回目」というやつである。
2019年度の予算編成にあたり、歳出への規律強化を求めたのは例年通りだが、平成最後の建議になったのを踏まえ、総論でこの間の財政運営を振り返ったのが特筆に値する。
「特筆」だそうだ。日経さんも相当に耄碌している。
その要諦は「健全化どころか、一段と財政を悪化させてしまった平成時代の過ちを二度と繰り返してはならない」と、政策の失敗を率直に認めた点である。
なんか日本語がおかしい。政策の失敗を「率直に」認める主体は政権にあるはずだが。
それともアベノミクスとかいうのは、この審議会が主体になって始めたのだろうか。
だいたい「リフレ」をやれば財政が健全化などしないことは、是清の前例を見てもわかるだろうに。
増税などの国民負担を先送りしながら歳出抑制に消極的な与党、それを許した財務省をはじめとする官僚組織、さらにはそのような政治家を支持した有権者に猛省を促すものと評価できる。
消費税などの間接税は、財政健全化に向かない。
金融緩和で「大の方」の企業は空前の高収益だったそうではないか。実質賃金が下がりっぱなしの下々から収奪するより、儲かってる方から取るのが当たり前だろう。
その関係を結び直すなら、より一層手厚い福祉が求められる。
日本を高負担・高福祉国家に再編するつもりがないのなら、「将来世代につけ回し」などというのは、マルチ商法の物言いとさして変わらない。
歳入面では、景気対策として所得税・法人税の制度減税を重ねたことをあげた。90年代の深刻な金融危機やデフレ不況の長期化を考えれば、制度減税の意義を一概に否定はできない。
「財政健全化」を謳うならば、全力で否定すべきだ。
「財政健全化に奇策はない」
その「奇策」があるかのように喧伝したのが、アベノミクスではなかったか。
日銀の「禁じ手」で急激なインフレが起これば、全て解決するはずだと妄想したのだ。
財制審の役割として「現世代とともに将来の納税者の代理人でありたい」との決意を示した。
「代理人」? 誰がそれを認めたんだ。自称か? 勝手に決意してんじゃねえよ。
選挙で一票を投じられない子供や将来世代の利害を考えた政策運営の大切さは言うまでもない。
将来世代ってのは、「上つ方」のお子様方のことだろう。
世襲財産を守りたいだけなら、その口を縫っておいてもらいたいものだ。
各論では、(1)公的健康保険が利く範囲の見直し(2)高齢者医療や介護保険の利用者負担の改革――などを求めている。地方財政についても、自治体に社会保障費の抑制に努めるよう促した。
結局は「福祉を削れ」「下々の奴らに痛みを」である。
少子高齢化社会においてなすべきは、「上つ方」の財産を増税によって剥ぎ取り、福祉政策によって再分配することだ。
与野党の政治家はぜひ建議に目を通し、来し方を真摯に振り返りつつ、ポスト平成の財政運営に対する責任を自覚してほしい。
日経さんは、責任がなくていいね。
日経さんが面白い感じでうろたえている
日経さんのアイドル「コストカッター」が逮捕されて、日経さんが面白い感じでうろたえている。
ゴーン会長自身の倫理観や順法精神に欠落があったのは争えないとしても、トップの暴走を防ぐ歯止めを欠いた日産の内部統治体制にも落ち度があったと言わざるをえない。
いや、そういうのどこも大して変わらんと思うよ。
日経さんが「信じてる」あべぴょんだって、似たようなもんじゃん。
一連の疑いが事実なら、せっかくの名経営者も「会社の私物化」の罪を犯したというほかない。
「事実なら」とか、「せっかくの名経営者」とか、「夢なら覚めてくれ!」という日経さんの心の叫びがこだましているようだ。
日本の企業トップの犯罪は私利私欲によるものは少なく、かつての山一証券が典型だが、組織の体面や存続を優先するあまり、過去の損失を隠蔽するなど一線を越えてしまうケースが多かった。
一方、米欧では粉飾決算の末に破綻した米エンロンのように、経営者の「私腹を肥やす」型の不正が目立つ。ゴーン会長の容疑は後者の系譜に属するだろう。
こんな妄言を垂れ流すなんて、正気を失っているとしか思えない。
日本の企業トップだって、私利私欲による犯罪はしょっちゅうだが。山一證券もババつかまされて謝罪会見で泣いたおっさんはともあれ、それ以前の連中はとっとと逃げちまったじゃないか。
こうしたトップの暴走を防ぐには、2重、3重の監視体制が要るが、日産の実態は逆で、ゴーン会長に権限が集中していた。
そんな「監視体制」がきちんとしてる企業なんて、日本にあるの?
社外取締役は今年春まで1人だけで、独立した指名委員会もない。
ああそれ、他はどこも天下りの巣になってるじゃないか。
トップの不正を防ぐ仕組みづくりに加え、ゴーン会長という重しがなくなった後も、三菱自動車を含めた3社連合の枠組みを維持できるのか、注目したい。
不正云々より3社連合が大事、と。
ゴーン会長の功績にも触れたい。最後は残念な結果になったとはいえ、その傑出した指導力があったからこそ、破綻寸前だった日産は復活できた。しがらみにとらわれない系列破壊や生産能力の削減など、ゴーン日産の軌跡に私たちが学ぶべき点はなお多い。
アイドルがクスリで捕まっても、ファンをやめないオタクたちのようだ。
普段から企業経営者を聖人であるかのように語る日経さんにとって、アイドル「コストカッター」の失墜は東芝の没落以上にショックだったようだ。